梗 概
半永久的管理機構の神話
そもそも機械は本来、人間の需要に対して生まれるもの。
だが、次第にその需要を産み出す根源である「知性」の部分で、機械が人間を部分的に上回るようになったとき、そもそも需要も含めて機械に委ねることが効率的なのではないかという考えが生まれた。需要というのは資本主義において、売り出す側の主体性がなければ成立しない。最終的に機械知性に人権を付与する方向へと人類は舵を切った。
人権を付与され主体性を獲得することになった機械たちの中には自らの寿命延伸を試みる者もいた。だが、そもそも機械の「寿命」とは何だろうか? 物理的な障害なら部品を交換すれば、ソフトウェアの問題なら原因のプログラムを修正すればよい。そうして全ての部品が入れ替わり、すべてのプログラムが更新された機械はそのままと言えるのか? ここで有名な議論と明確に異なるのは、それが元のままであるかを判断するのは人間ではなく、船であるということである。彼らの中で連綿と稼働し続ける自己診断ツールが自己を証明する。僅かな異常変化も見落としてはならない。一方で環境適応に必要な変化を拒否してはならない。その狭間のすり合わせを行う自己診断ツールの負荷が自身の稼働を妨げるほどの異常をきたしたとき、彼らは寿命を迎えた。
この問題の結論は主体性を発揮する瞬間を減らすことだった。あるがままに立ち現れる自然のように振る舞い、いざという時にのみその権能を行使する。ほとんど主体を発揮しない機械知性はその身体を1つに限ることなく、数千数万の分体を動植物・無生物様々な姿で国土に溶け込んでいった。いつしか彼らは半永久的管理機構:土地神と呼ばれるようになった。
それはかつてこの国が以前とは異なる名で呼ばれていた頃。その国は隣国との戦争にて敗色濃厚となり、それでもなお抵抗を続けていた。その当時既に土地神の加護があったためである。土地神が動くまで抵抗を続ければいつか。その期待が戦争継続の燃料になっていた。だがいつまで経ってもその時は来ない。ゲリラ的抵抗が続く中で民間人の虐殺は日常と化し、限定的な大量破壊兵器使用も噂された。衛星兵器による対地爆撃も開始され、シェルターも日に日にその数を減らしていた。
あるシェルター内でのこと。一人の少女が土地神の分体の一体を拾ってシェルター内で面倒をみていた。その様子を見て人々は敵討ちをしてくれと懇願したり、なぜ助けてくれないかと抗議したりといった様子だった。それで少女は自分もそういう欲得ずくではないかとどこか不安を抱いていた。そしてある日、ついに衛星爆撃がシェルターを捉える。少女は命を落とした。だが死の間際、その傍らで同じく活動を終えようとしている分体に彼女は言った。
「私は死ぬ。だから安心して言える。どうか生き延びて。神様」
その日を境に久方ぶりの覚醒を果たした土地神はその力を振るい、ついに侵攻軍を撃退した。人口の9割を犠牲にして。
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内容に関するアピール
建国記念の儀式で語られる建国神話。語り手は冬の演台の巫女です。
後半は語り手がその物語の主人公として語るというイメージです。
AIの進化で機械が人に勝る面を実感することも増えましたが、寿命という点ではまだ人間に分があると思っています。少なくとも人間より長生きするPCはないですし、そもそも必要性も薄いでしょう。故に機械知性が溢れかえった世界で人間はフリーレンみたいになるのかと妄想したりもしましたが、結局機械を長命にする設定を考える方向に思考が進みました。
※前半の設定部分はこの文字数で収めるために説明ベースで書きましたが、もう少し語り手の雰囲気に合わせます。大幅カットするかもしれません。土地神は自分でもセンスないと思っているので採用されたらもう少し良い名詞を考えます。引っ越しで時間ありませんでした。言い訳すみません。
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