梗 概
かぐや姫の帰還
かぐや姫、天の羽衣をかけられるも、散り散りに破れてしまい、記憶が無くならずに帰れない。竹取の翁の家で暮らすことになり、少しずつ年を取りながら千年以上の時を過ごす。
2026年、80代後半相当になったかぐや姫が入院している病院を、現代の月の少年・ミカドが襲撃する。かぐや姫の記憶を奪えば月へ連れ戻すことができると考えて、脳へナノマシンを侵入させて記憶回路にダメージを与えようとする。しかし、かぐや姫は不思議なバリアに守られていて失敗する。「私はあなたの月世界での末裔です。伝説的存在であるあなたを連れ帰れば家を復権できるかもしれない」。かぐや姫の近くにいるため、病院の実習生として潜り込む。
かぐや姫は寝たきりでご飯もほとんど食べられない状況だった。「月に帰ってほしいのであれば、私の願いを叶えなさい」と言ってわがままをふっかける。
①「焼き肉が食べたい」。主治医とリハビリ担当者を説得して、嚥下機能が十分であることを証明して食べさせる。肉を食べられることに、一同驚く。
②「桜が見たい」。病室の窓か見える桜の木を、開花を抑制するホルモンを阻害して狂い咲きさせるが、視力が低下していて見えない。最終的には、病院の近くに住んでいるおばちゃんが、桜の枝を折ってくれる。
③「旦那との思い出の場所に行きたい」。
ミカドは思い出の不動尊に行って写真を撮ってくる。旦那さんとの思い出が蘇ってかぐやが話しはじめる。二人の仲が深まる。
「私、おうちに帰りたいわ」
かぐやはリハビリを開始し、ミカドは毎日付き添う。平行棒につかまって歩行訓練を行うが、なかなか歩けるようにならず、挫折しそうになる。リハビリをサボる。ミカドは病室で「歩けるようになりたいんじゃないの?」と詰めてしまい、喧嘩になる。
3日後、かぐやをミカドが散歩に誘う。「私のために悪いわよ」と言われるが、「俺が一緒に歩きたいんだよ」と連れ出す。かぐや「ひさしぶりに人に誘われたり、喜んでもらえたりして必要とされているって思えたの」。ミカドも、実は月では立場が弱く、自分を認めさせるためにかぐやを連れて行こうとしたことを告白する。
次の日からリハビリを再会する。ミカドがリハビリしているところの写真を撮る。「がんばってるところかっこいいから!」
3週間後、歩行器があれば歩けるようになったかぐや姫。
かぐやはこれまで暮らしていた家に帰り、ミカドは一緒に暮らすようになる。かぐやは段々記憶が曖昧になっていく。ある日ミカドがバイトに出ていると、かぐやが徘徊していたところを発見したという連絡が来る。迎えに行き家に連れて帰ると、ちょうど家に月からの迎えが来ていた。
認知症が進行しきったかぐやは、地球での記憶をなくして月へ帰ることを願ってしまった。忘れられてしまったミカドは悲しみに暮れ、ともに月へと帰る。
文字数:1159
内容に関するアピール
語り手については、かぐやとミカドはずっと月世界から監視されているので、その監視役が見ているという設定を考えています。今回は、最初は人間が種分化したらどうなるかというところから考え始めたはずだったのですが、最終的に自分が病院実習で見たり体験したりしたことをベースに描くことになりました。かぐや姫がなぜ降りてきたのかわからないのですが、高齢の患者さんとかぐや姫を重ねて考えてみました。物語をドライブするために、どの程度脚色してイベントを起こしていくのかが難しいです。そして、これはSFなのか?という問いが常に自分にあります。
文字数:260




