完全なる整形夫婦

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梗 概

完全なる整形夫婦

ナタリーは結婚20年になるという夫婦仲に悩んでいた。
毎朝、目の前にいるのはビール腹に旧態依然とした価値観の、稼ぎもそこそこの中年男性・・・このまま余生をこの人とは暮らせない・・ナタリーの脳裏には離婚の言葉がちらついていた。
そんなある日、懸賞であたった契機に夫が新技術という完全整形をしてきた。彼女好みの顔に、引き締まった身体・・・離婚の考えは吹っ飛んでしまった。もちろん、彼女もなけなしの貯金をはたいて、完全整形をした。

しかし、旦那の性格は変わらない。日々飽きてくる顔に比べて、やっぱり、いつまでも幼い発想がイラついてきたので、次は、性格調整のホルモンパッチを旦那に勧めることにした。しかしながら、旦那はそれ断固拒否して、代わりに彼女にも性格パッチを勧めてきた。
結果としては、お互いに新たにその性格パッチをインストールすることとして、しかもお互いの性格嗜好を決めていいこととした。
二人は互いの性格パッチを選び合った。ナタリーは夫に「共感力強化」と「聡明さ」を、夫はナタリーに「寛容性」と「享楽さ」をインストールする。

翌朝から食卓は見違えた。夫は彼女の疲れを察して先回りし、ナタリーは彼の冗談に素直に笑った。会話は滑らかで、衝突は消え、理想的な夫婦がそこにあった。

だが、徐々に違和感が生まれる。どちらも相手の望む反応を最適化するので、会話は常に正解をなぞる。意見のズレも、些細な違いも妙に丸められていく会話がぎこちなかった。

物足りないナタリーは、保存した性格に戻そうとする。カルテの履歴にはこう記されていた―「初期状態:夫婦は互いに不完全で、しかし予測不能な魅力を含む」。

結果、ナタリーは元の性格に戻る。家に帰り旦那を見た瞬間、離婚という言葉をまた思い出すのであった。

文字数:733

内容に関するアピール

語り手は、ここでは神の視点(作者)として、単なる第三者目線です。

外見というのは、直感的で瞬間的に判断されるもので、故に差別的ですが、一旦社会を離れて、夫婦や家族というコミュニティに入れば優先度は下がるだろう価値観だと思っています。反対に優先されるべき内面である性格すらも変えたいと思ったら・・もはや全く別人がただ同居するだけの空間は本当の意味での仮面夫婦ではないか・・そんなアイデアで書きました(星新一作品にありそう・・)。もう少しそんな仮面夫婦の側面を掘り下げてみたかったのです、今回は時間で断念してしまいました。

視点としては、この手術を担当する医者、夫婦仲をカウンセリングする精神科医、といった点も成り立つとは思いました。

文字数:313

課題提出者一覧