梗 概
正しい浮気の隠し方
幼なじみのユキの将来の夢は「お嫁さん」だった。幼稚園から大学生になっても一貫してブレることがなかった。そして、幸か不幸かユキはとにかく可愛かった。恋愛にも貪欲だったし、そのかわいさを自認していた。
まあ、高校まではちょっと惚れやすいというくらいで、彼女も健全だったと思う。思いたい。
当然の話だが、大学生になってすぐ、ユキに彼氏ができた。ユキの理想を具現化したような、優しい年上の彼氏。けれど、ユキは本当にこれでいいのか、このままでいいのか悩み始めたらしい。
そんなときに、意識だけ世界線を移動できるスイッチをユキは手に入れた。別の世界線のユキに意識を移している間はこちらのユキの意識は眠っている。時間を指定して移動できるので、最初はうまくいっていたらしい。最初はちょっとした出来心で、別の世界線で彼氏を作った。調子に乗ったユキは3つ目の世界線に移動し、3人目の彼氏を作った。3股で辞めておけば良いのに、さすが恋に貪欲な女は一味違う。浮気しているのに、浮気していないこの状況に味を占めて、別の世界線でどんどん彼氏を作り始めた。そうなってくると、もうユキの意識は混乱し始め、手に負えなくなってくる。授業中もぼーっとしていることが増えた。私がユキから話を聞き始めたのも、この頃からである。仕方ないので、(ユキには面白いからだよね!?と突っ込まれた)彼女の恋愛を手伝うことにした。
まず始めたのは、世界線を整理することである。すでにユキは何股しているかわからなくなっていた。これでは彼氏にバレないようにするどこらの問題ではない。書き出してみたところ、7股!わからなくなってくるくらいなら別の世界線のユキに任せれば良いのに、妙なところで真面目なユキはどの世界線も切り捨てられなかったらしい。いや、恋愛が好きすぎるだけか。
そんなわけで、整理したところでいっぱいいっぱいだったユキはとうとうデートの日程を間違え、彼氏の名前も間違え、彼氏に浮気がバレた。とはいっても、この世界線で浮気しているわけではないので、証拠も何もない。だから、ユキは誤魔化せると思ったらしい。
「木を隠すなら森の中」作戦で、ひとつの浮気を認め、残りの浮気を隠し通すことに決めた。が、やっぱりユキはアホだった……。浮気相手の名前を、別の世界線の相手の名前で呼んでしまった。とうとうキレた彼氏は、この世界線でユキの浮気相手を探し出し、突撃した。が、当然向こうに心当たりも証拠もあるわけがない。結果、ユキの浮気の話はうやむやになり、ちょっとだけ彼氏の束縛が激しくなったらしい。
その後のユキはというと、別の世界線で浮気していた相手をこの世界線で見つけ出して結婚して、今や「幸せなお嫁さん」である。
そして、私は今、ユキからスイッチをもらい、4人目の彼氏を持て余しているところである。
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内容に関するアピール
語り手は、主人公ユキの幼馴染で悪友。
彼女を諌めることもなく、むしろ煽動する側から、ユキの行動を書きたいと思いました。
やっていることは倫理的にどうかと思いますが、ゴールに向けて一直線という真面目さが狂った結果というコメディっぽく仕上げたいです。
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