化石フレンズ

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梗 概

化石フレンズ

本日は発言の機会をいただきありがとうございます。真壁教授の失踪について、私なりの結論をまずはサマライズしてご報告させていただきます。

教授はどこへ消えたのか。それを理解するためには、まず彼の原点に立ち返る必要があります。今から四十年前、化石発掘が盛んな地域で育った真壁少年は、親友の北沢少年とともに恐竜の話題に夢中になっていました。二人は公園に自分たちだけの秘密基地を作り、そこへ図鑑や化石の資料を持ち込んでは、尽きることのない探究心を満たしていたそうです。

しかし、真壁教授が十五歳になった時、北沢少年は突如として姿を消しました。大規模な捜索が行われ、一時はニュースにもなりましたが、何一つ手がかりが見つからないまま、世間はこの事件を忘れ去っていきました。

ただ、真壁教授だけはこの出来事を片時も忘れていませんでした。彼は勉学に励み、やがて化石研究の第一人者となりました。私が所属する真壁研究会も、彼の情熱に惹かれた者たちが集まり、今やこの国でなくてはならない役割を果たしているのは皆さんもご存知の通りです。

そんな折、東京で活動する真壁教授のもとに、教授の故郷から調査依頼が届きました。「特定の地層と岩石に不可解な変質が見られるので調査してほしい」というその場所は、奇しくも四十年前に北沢少年が最後に目撃された秘密基地のある公園でした。現地に赴いた教授は、調査の結果、一つの結論を導きます。

かつて二人が根城にしていた公園の秘密基地は、今から二億年前のジュラ紀へと繋がる、タイムスリップの特異点なのではないか、と。その場所の地層からは、現代にしか存在し得ない物質が長い年月を経て石化した、特殊な岩石が発見されました。教授はそれから東京へ戻ることを拒み、ずっと発掘調査を続けました。そしてある日、ついに一体の化石を掘り出したのです。

それは、人間の化石でした。

北沢少年は四十年前に失踪したのではなく、遥か太古の世界へと飛ばされていたのです。その事実を知った数日後、真壁教授自身も行方をくらましました。最後に目撃されたのは、やはりあの秘密基地のあった場所です。私と最後に言葉を交わした際、教授は「またあいつと一緒に遊べるんだ」と、まるで遠足を楽しみにする子供のように、晴れやかな表情で語っていたのを覚えています。教授はタイムスリップの法則を解明し、かつての親友を追ってジュラ紀へと向かったのでしょう。

私たちのチームは、教授が発掘していた地点を改めて掘り返してみました。そこにあった人間の化石は、二人分に増えていました。その二つの化石は、二億年という歳月を化石として過ごしながらも、まるで今この瞬間も一緒に遊び、笑い合っているかのようです。以上が、真壁教授の失踪に関するサマリーとなります。

続いて、詳細のご報告をさせていただきます。

(本編に続く)

文字数:1166

内容に関するアピール

とある大学教授が行方不明となった事件の真相を、彼の人生のルーツから追って説明していく形式をとった小説です。

語り手は、この事件において第三者となる、彼の研究会に所属する研究員です。小説の中身を構想する内に、梗概自体も本編と同様の語りの形式をとった方が面白いのではないかと考え、梗概を、本編の前に報告されるサマリという位置付けにしました。

今までの私の課題として、一万六千字の短編のサイズに対し壮大な物語を当てはめて身動きがとれなくなってしまう、ということがあったので、今回は適切なサイズを意識しました。

個人的には、SF短編の核は、私たちがこの現実において慣れ親しんでいるモチーフに別の見方を与えることで、世界の見方を変えるものだという理解をしたので、そこを中心に組み立てることで、話の収まりを良くすることができたと思います。

 

 

文字数:360

課題提出者一覧