ERV-1784

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梗 概

ERV-1784

ウイルス進化を専門とする分子生物学者の主人公は、レトロウイルス由来のヒトの遺伝子に、産業革命期を境に奇妙な変異が起きていることを発見する。

その変異は神経系に作用し、長期的思考を弱め、攻撃性・短期利益志向・環境破壊的行動への抵抗低下を引き起こしているように思えたため、主人公は遺伝子の元となったレトロウイルスについての解析を開始する。

変異が起こる前の遺伝子の検証のため、産業革命前のDNAサンプルの解析をつづける主人公は、五千年前のミイラから該当する遺伝子配列の原型となるレトロウイルス断片を検出するが、それは遺伝子操作で作られたとしか思えないものだった。

その遺伝子変異が長期的思考や攻撃性に影響を与えている可能性に、主人公は意図を持って仕込まれたような悪意を感じる。

偶然にレトロウイルスの遺伝子変異が起こったとはどうしても思えない主人公は、このことを論文にまとめて発表する。しかし学界からは「五千年前に宇宙人が地球に来たとでもいうのかい?まるでオカルトだ。」と嘲笑される。
学界を追われ研究者の職を失った主人公は、世間がこのような反応をすることもレトロウイルス由来の変異の影響なのか、それとも自分が間違っているのか、分からなくなる。
——場面は一転、宇宙船の内部へ。乗組員たちがバカンスの話をしながら、事務的に進捗報告書を提出しようとしている。
報告書の差出人は「ネレイス星系外縁開発群・第七観測班」。宛先は対外開発事業管理局。内容は、地球の「先住知性体自己縮退誘導計画」の進捗報告だった。
五千年前、彼らは先住知性体に広く感染しているレトロウイルスに「行動誘導配列」を挿入した。起動条件は、大気中CO₂濃度の上昇・工業化学物質への曝露・個体密度の増加——すなわち産業革命がその引き金だった。起動後、先住知性体には短期志向・集団分断・環境負荷行動への抵抗低下・将来リスク認知の鈍化が顕著に拡大している。
先住知性体は自らの「進歩」によって大気と気候を改変し続けており、それは我々にとっての居住適性向上を着実に高めている。報告書はリスク欄で、ウイルスの異常に気づいた研究者の存在を記録しつつも、「学術共同体内部でオカルトとして処理されており、計画への支障なし」と淡々と結論づける。
今後は追加介入を最小限に抑え、先住知性体の自発的環境改変を利用する。個体数縮減と社会基盤の脆弱化が進行した段階で次のフェーズへ移行し、最終目標である「地表管理権の空白化」を達成する。先住知性体は排除対象でありながら、現時点では「有用な環境調整労働資源」として機能している——そう総括して、報告書は閉じられる。

文字数:1088

内容に関するアピール

分子生物学者の主人公が人類に仕込まれた遺伝子操作を発見してしまうお話です。

主人公は発見したことを誰にも信じてもらえずに終わりますが、実際は宇宙人が地球を自分たちが住みやすい星にするために長い時間をかけて人類の行動をコントロールしています。

人類は自分たちの利益を求めて地球環境を変えているつもりでいますが、それ自体が宇宙人に仕組まれたものであり、彼らは人類を環境改変のための道具として利用しているのです。

最近、戦争のニュースが多くてなんかゲンナリしていましたが、人類があんなことをするのは全部宇宙人のせい!ということにしたら少しスッキリしました。

宇宙人に人類がコントロールされて、終わりに向かいつつあるお話ということでお願いします。

タイトルは内在性レトロウイルス(Endogenous retrovirus, ERV)とジェームズ・ワットが蒸気機関が実用化された年号1784年を組み合わせました。

 

文字数:395

課題提出者一覧