梗 概
ひとりかくれんぼ
四歳の島本ニーナは不思議な家に両親と暮らしている。
クローゼットの中の壁に小さな隙間ある。その隙間に入ると、自分が空想して描いた絵の世界が広がっている。赤い屋根の小さな家、噴水がある公園、それから動物園。ニーナはその小さな世界で「ひとりかくれんぼしてるんだよ」と母親にいう。「お母さんがオニになって、ニーナをみつけるね」と母は笑う。でも母は「ニーナ、ごはんよ。隠れていないで出てきなさい」と言うだけ。ニーナは母親の声が聞こえるとその世界から出ていく。
ニーナの父は脳科学者。脳内データを空想空間として実体化する研究を自宅で行っていた。想像力豊かなニーナを人体実験にして、ニーナの「ひとりかくれんぼ」という言葉から、オニがその世界に隠れている人を見つけたら、その世界が終わるようにデザインした。
ニーナが六歳のとき事件が発生する。何者かが家に侵入してニーナの両親を殺害。その犯行の直前に両親はニーナをクローゼットに隠す。「ニーナ、ひとりかくれんぼの時間だ。この絵を知っている人が見つけにくるまで絶対出てきちゃダメだ」と父親は言い残す。六歳のニーナはその絵を持って空想世界に隠れ続ける。
クローゼットの中で倒れいているのを保護されたニーナは六歳までの記憶が無い。親戚に引き取られる。事件は未解決のまま月日が流れる。
ニーナは二十五歳。あのとき持っていた絵は今はスマホの写真にある。ニーナは恋人の村崎サトルに絵の写真を見せて「六歳の私はこの絵の中にいるのね」と笑う。「僕がその絵の中に入って六歳のニーナに犯人が誰なのか聞いてみるよ」とサトルも笑いながら言う。
ニーナは「記憶が戻りそうなの。このごろ子供のころの夢をよく見るの」とサトルに言う。黒い影がそれを聞いている。
サトルはニーナの実家に行く。そこは捜査のために当時のまま保存されている。家の中に忍び込んでニーナが倒れていたクローゼットを開けると、壁に光が漏れてくる隙間がある。なぜ、今になって? とサトルは不審に思いながら手を触れると隙間の中に吸い込まれてしまう。
サトルは六歳のニーナが描いた絵の世界にいる。「お兄ちゃんは、わたしを探しにきたオニなの?」少女の声に振り向くと六歳のニーナが立っている。サトルはスマホの絵の写真を六歳のニーナに見せる。「怖いオニも一緒にきたのね」とニーナは言う。ニーナを引き取って育てた親戚の叔父が犯人だった。ニーナの記憶が戻りそうなことを知り、六歳のニーナが隠れている世界を破壊しようとしてサトルを尾行してきた。
叔父はニーナの街を破壊していく。サトルとニーナは動物園が破壊される前にトラを檻から逃がす。トラは叔父に襲い掛かる。
「見つけてくれてありがとう」と六歳のニーナが言うとニーナの空想世界は終わっていく。六歳のニーナも消滅する。
気がつくとサトルはクローゼットの中にいる。傍らにはトラに襲われて重症の叔父が倒れている。
文字数:1200
内容に関するアピール
人が心の中で思い描く空想の世界が終わるストーリーにしました。
実作は、空想の世界で一人遊びをする子供の心の中を、子供が描いた絵のような世界として描写したいと思います。それから、子供のころに心の中に思い描いていた世界が、終わってしまうせつなさも表現したいと思います。
文字数:131




