梗 概
惑星整備士の憂鬱
どうしてこんなところにいるんだろう。
僕は、コスモス・プレミアム・エステート社の準惑星カリオペアに建設する宇宙リゾートについての会議に出席している。
宇宙開発機構での資源発掘を終えたカイパーベルトに位置する準惑星カリオペアが払い下げられ、その開発権を取得した宇宙リゾートベンチャーであるコスモス・プレミアム・エステート社で、僕は働いている。
「やっぱり、なるべく地球に近い重力にしたいんですよね。」
(無理!絶対無理!せいぜい月くらいが限界!)
準惑星カリオペアは直径約2,000kmで、重力は地球の0.04倍。
月の重力が地球の0.17倍なので、月よりずっと小さい。
営業統括責任者のフォスターさんのプレゼンを聞きながら、僕はお腹にずーんと重い塊が形成されるのを感じた。
「火星のヒィペルボレウス湖リゾートでは地球に近い重力にしているじゃないか。」
「それは火星付近には小惑星が内からであって、軌道上に無数の小惑星があるカリオペアで地球に近い重力を発生させた場合、近くの小惑星やダストを引き寄せてしまう可能性があり、建設するリゾートの安全性が確保できません。」
僕は反射的に発言をしてしまった。
「流れ星がいい演出になるんじゃないかな?」
「カリオペアの場合は大気がほとんどないので、流れ星にはならなくてですね。。。」
「環境整備担当には負担をかけてしまうと思うんだけど。。。」
ショーン・ジョージ・ロウCEOが口を開いた。
「投資家向けプレゼンで『地球に近い重力で快適に過ごすカイパーベルトの高級リゾート』って言っちゃってるから、重力は地球になるべく近づける方向で。環境整備担当のシャルマは安全対策をよろしく頼むよ。」
僕はリゾート区画のシールドでは防げない大きさの隕石を破壊するレーザー砲設置許可申請の手続きに着手した。
そしてオープニングセレモニーの日、ドーム内部の重力が地球並みに引き上げられる。その瞬間、周囲の小惑星やダストがドームへと吸い寄せられはじめた。
僕は、ドームに隕石やデプリが吸い込まれていく様子を見て、
「キレイだな。星はこうやって成長していくのかもしれない。」
僕はなすすべもなく、準惑星カリオペアから遠のいていくシャトルの窓からドームに隕石やデプリが吸い込まれていく様子を眺めていた。
-3年後-
あの事故の後、僕は宇宙開発機構に開発事故防止のため新たに設置された開発事故防止課で働いている。
施工業者へ訪問した際には、
「僕は、準惑星カリオペアの事故を起こした会社で働いていました。」
と自己紹介をすることにしている。
「えぇっ?あの宇宙集塵機作っちゃった事故の?」
と訪問先の人たちは笑いつつ、僕の言葉に耳を傾けてくれる。
準惑星カリオペアはまだ成長を続けている。
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内容に関するアピール
宇宙ゼネコン不祥事SF
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