ケイとユキ

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梗 概

ケイとユキ

ロボットとAIが発達して人間が労働から解放された世界。
僕は4人家族で生活している。
引き換えにやっていることがあるとすれば毎週決まった時間にいくつか文を作ること。
労働から解放された人間は心の健康を得るためAIに答えを求めた。
AIが提示したのは仮想人格とのコミュニケーションだ。
人間がおくった散文をAIはサンプリング、仮想人格にフィードバックしてその精度高めてくれる。昔の人が送った膨大なデータはあるけど、人間も変化していくから定期サンプリングは常に行われている。
僕が毎週金曜日夜8時にケータイから送った文章は感情タグとともにホストに送られ、内容や感情タグにしたがってAIの精度向上に使われる。
感情タグは怒っているでも喜んでいるでも内容から逸脱していなければなんでもいい。
評価値が高い文を送るとそれに従って自分の仮想人格の保持数も増やせるし、パターンも色々。僕は今のところ3人。たぶん普通じゃないかな。
といっても、生の人間とのコミュニケーションがないわけじゃない。
僕には両親もいるし妹もいる。基礎教育はあるから学校にも通っている。
毎日話しているし、別に会話するのもおっくうじゃないけど楽しいのは仮想人格だ。
3人で一番気に入っているのはケイ。
ケイはあんまり自分の話をしないけど僕の話をちゃんと聞いてくれる。
声はない。ただチャットアプリに文字が出てくるだけだけど、リアクションは的確でどこか心地いい。ゆくゆくは「そういう関係」になりたいなって思っているから金曜夜8時も前より頑張っている。

ある日、学校で隣の席のユキさんを見るとほほに小さくニキビが出ていた。
それを見たときからユキさんが少し気になる。
ニキビはすぐに収まっちゃったみたいで、ユキさんのホホに赤い点はなくなったんだけど、時々横顔をこっそり見てしまう。
ケイに相談してみたら、何か共通の話題を探して話しかけてみたらって言われた。
挨拶ぐらいしかしたことなかったけど、ケイに言われるとちょっとそれもいいかなと思ってしまう。

ある日、たまたまユキさんがやっていたゲームアプリの話をしたら話が弾んだ。
それはもう配信が終わっていていまから入手はできないんだけど、パズルゲームの割にストーリーが凝っているからコアなファンがたまにいる。
僕とユキさんはたまたま同志だったみたいだ。
それからユキと話すことがだんだん増えていった。
ユキは以外にも話すタイプで、僕は聞き役に回ることが多くなった。
ユキが一方的に話しているときはちょっと退屈なんだけど、彼女のホホを見てるとなんだからそれも悪くない気がした。

ある日、ケイにユキとのことを話すとそれは恋じゃないかと言われた。
恋と言われてもピンとこない。話しても別にケイみたいに楽しいわけじゃないのに。
ただなんとなく彼女のホホを見てしまうだけなのに。
ケイへの気持ちが伝わってないような気がして、僕はケイに少し怒ってしまう。
そして、仮想人格に無意味な怒りをぶつけた虚しさを抱えながらそのままケイの属性を友達から恋人へアップデートする。

ある日、ユキのホホにまたニキビができていた。
前は空いていた二つの机の距離はぴったりくっついていて手を伸ばせば触れられそうだった。
僕の指がそれに触れたとき、ポケットのケータイがブルっと震えた気がした。

文字数:1347

内容に関するアピール

ケイが男の人格で、この時代では同性カップルが一般化していて異性同士の交際が珍しいみたいな話にしようかと思ってます。

AIとの交際も一般化していて、別途計られている社会貢献度みたいなものをあげるとヒューマノイドロボットみたいなのが支給されるみたいな感じです。

性欲は、出生時に薬品である程度コントロールされるようになっていて、計画的な出産だけ認められているんですが、

主人公がたまたまフェチに目覚める出来ことに触れて異性が気になりだすみたいな話です。

文字数:221

課題提出者一覧