息を潜めて、よく狙え。

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梗 概

息を潜めて、よく狙え。

1960年。舞台はソ連の人里離れた地下にある研究所。主人公はそこに勤める1人の警備員だ。
 何か事故が発生したらしく、研究所では避難警報が発令されていた。しかし、前日に深酒をした主人公と同僚は取り残されてしまう。
 時間が経ってから二人も脱出しようと出口に向かうが、ロックされている。解除する権限は平警備員にはない。仕方がないので、別の脱出口を探すことに。
 突如、二人はバスケットボール台の蜘蛛に似た生物に襲われる。
 どうやらこの蜘蛛に似た生物は、生物の脳を食らい、身体を乗っ取るらしい。同僚の犠牲でそれを知った警備員は、弾数少ないマカロフとライトだけを頼りに、研究所からの脱出を目指す。
 途中、何度か蜘蛛と遭遇し、精神的に消耗する警備員。
 蜘蛛は銃弾さえ当たれば容易く殺せるが、とてつもなく当てにくいのだ。ただでさえ拳銃は当たりにくく、その上相手は小さく素早い。更に緊張で狙いは非常にブレやすい。弾丸の消耗と、いつ暗がりから蜘蛛が飛び出てくるかわからない見えない恐怖で、彼は追い詰められていた。
 更に奥へ進むと、蜘蛛の大群が警備員を目指して走ってくる。銃を乱射するが、一匹二匹を殺したところで焼け石に水。ここまでかと思われたが、蜘蛛達は警備員を無視し、走り去っていく。
 疑問に思いながらも、先を目指す警備員。道中、無残な殺され方をした動物たちの死骸が転がっていた。この先に何かがいるのだ。動物たちを殺し、蜘蛛たちが恐れて逃げ出す何かが。
 現在、唯一の出口として使えそうな設備搬入用エレベーターの部屋に近付くと、そこには暴れ回るアフリカゾウの姿があった。
 興奮したゾウは警備員に気付き、襲い掛かってくる。
 よく見れば、頭部には蜘蛛のような存在が張り付いており、ゾウの耳からは黒い液体が流れ出ている。蜘蛛の影響でマスト期に陥ったのだろう。
 無論、拳銃なぞゾウには通用せず、逃げの一手をとる警備員。
 何とか警備員はエレベーターに飛び込み、研究所からの脱出に成功する。
 数年後、研究所に興味本位で侵入しようとする輩がいた。
 電流フェンスを破壊し、中に入った瞬間。その人物が見たのは、自らの頭に飛び掛かってくる、大きな口であった。

・蜘蛛
 バスケットボールに節足動物のような足が生えている生物。
 生物の頭部へ向かって飛び掛かり、足を突き刺しロック。そこから腹部全体にある巨大な口で、獲物の脳を頭蓋骨ごと食い破る。脳を処理した後は、蜘蛛自身が獲物の脳となり、運動機能を支配する。蜘蛛の体内には、鉄結合タンパク質を利用した電極に似た器官が存在し、遠隔から信号による操作が可能である。
 全人類プロレタリアート化計画の成果物の1つ。
 これを乗せたロケットを打ち込まれた資本主義国家は、瞬く間に共産主義国家へと変化する。不満を零さず、逃げ出しもせず、疲れを知らない労働者達の集団が出来上がる。

文字数:1184

内容に関するアピール

照英社

小説つばる編集部 稲松様

お世話になります。茂木です。
 この度はお声掛けいただき、ありがとうございます。
 ご要望いただきました梗概を、当メールにてお送りさせていただきます。

今回のは、自らの射撃体験に基いた、ガンアクション描写が中心のSFホラーアクションです。
 等身大の対応の難しさによる恐怖感・無力感がテーマとなっております。
 エンタメに強い「小説つばる」に載せるということで、エンタメ要素を強くしつつ、もう一味ホラーをつけこのような形にしました。

以上になります。ご査収の程よろしくお願いします。

茂木

文字数:252

課題提出者一覧