ツインバース

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梗 概

ツインバース

【現在】
不老不死が実現された未来社会。
永遠のような寿命を手にしたことと裏腹に、文明は停滞。
人々は無気力に絶望していた。

ある日、空から宇宙船が降り立ち、人々を殺し始める。
死を選べずにいた人々にとってそれは救いにも見えたが、船から降りて来たのは数世紀ぶりに見る10歳ほどの子どもたちだった。

不死技術者である半田美代子は、子どもたちのリーダーの少年「アナム」の半生を書き留める形で対話を始める。
彼は「逆行宇宙」と呼ばれるもう一つの宇宙からやってきた存在だった。

【アナムの語り】
アナムの世界では、知性の発達が逆転している。

超天才的な知能を持って生まれ、年齢とともに急速に知能が減衰していく。
新生児は管理され、生後1時間で言語と数学を習得、0歳のうちに偉大な業績を残す。
5歳までは新生児への奉仕、7歳までは国の要職を担うが、10代後半には知性を失った獣のような存在となって、国の外の森へ放たれ繁殖する。

8歳のアナムは、最重要資源である「新生児」を捕らえるハンターだったが、近年は捕獲数が激減し社会は破綻の危機にあった。
ある日アナムは、森で妊婦の胎内にいる胎児「メノン」とテレパシーで出会う。
メノンはかつて栄養不足で生まれ損ねたアナムの一卵性双生児であり、胎児のままであることで高い知能を維持していた。

だが森では知識を得る機会もなく、野生の母に閉じ込められており、助けを求めていた。
アナムはメノンに学問や国について教え意気投合する。
やがてメノンと、メノンの声を聴くことができるアナムは、宇宙の危機を救う存在として支持を集めていく。
メノンは装置を作り、胎児たちを集め「前世の記憶」を尋ねることで、二つの宇宙の仕組みを突き止めた。

この宇宙は「順行人類」と「逆行人類」の世界が双子のように連なり、知性を形作る物質「エーテル」を共有している。
本来なら死と転生によって両宇宙を循環するはずのエーテルが、順行人類の不老不死化によって滞留した結果、逆行人類の発達を歪めていたのだ。

【現在】
そしてメノンの命令で、アナムは兵を率いエーテル奪還(順行人類の抹殺)のため地球へ降り立った。
しかし、子を作らなくなっていた順行人類にとって子どもたちの軍隊は愛らしく、アナムたちも大人の姿に戸惑いを隠せない。
半田は手料理を振る舞いながらアナムと対話し、停滞を打破するため不老不死技術を凍結することを約束する。
一方アナムは、メノンが抱く「自分を置いて生まれたアナムへの妬み」が双子世界への憎悪に変貌していたことを見抜く。
アナムはその怨嗟を受け止め、テレパシーで「もう君の力なら生まれてくることができるはず。外の世界へ生まれてきたらどうか?」とメノンを諭す。

不老不死を捨てた順行人類と、歪みが正される逆行人類。
二つの文明は、「いつか共に成熟し、外宇宙へ生まれていくのではないか」という信仰のような仮説を胸に、その時を待ち生きていく。

文字数:1194

内容に関するアピール

第2回の講座で提出した作品を推敲したいと考えています。
前回の提出時は、主人公アナムたちの目的が明確でなく、どこに向かう話なのか迷子になりがちでした。
今回は、順行人類の視点からはじめ、回想の形にすることでスピーディーに展開したいと考えます。

基本的には、アナムとメノンの関係を厚く描きます。
アナムは自分の知性が衰えていくことへの恐怖におびえていますが、その中で、メノンの存在に救われます。
しかしアナムは、自分が尊敬するメノンが憎しみに囚われていく様を悲しく思います。

また、ラストでは、順行人類は自然な命の手放し方として葬式を再発明し、逆行人類は誕生を祝う習慣を再発明します。
両人類はもともと、まっさらな状態で生まれ、徐々に成長し、やがて知性を手放すように老いていく、という成長曲線を自然とする種族だったのです。

文字数:353

課題提出者一覧