梗 概
天と地は我が腹の中に
北朝鮮が国威をかけて打ち上げたロケットが地球帰還中に謎の宇宙線に照射され、山中へ墜落した。焼け焦げたモジュールの中で、薄い幾何学模様のカビに覆われ、ぴくぴくと蠕動する不気味なものが見つかった──死亡した宇宙飛行士の腸である。北朝鮮の科学者がその生き物のような腸を医学的手段で解析した結果、ある結論に辿り着く。この腸は、人体とのつながりを絶たれても環境から自律的に栄養を取り入れ、微生物・湿度・温度を読み取りながら生存できる新しい生命体に進化したのだ。
国家プロジェクトとしてのロケット打ち上げ失敗によって威信と予算を大きく損なわれた金将軍は発見された不気味な腸に希望を見出し、東欧州戦場で瀕死の傷を負った帰国兵士たちを対象とした人体実験を命じた。その結果、極限環境でも落ち着いた気分でほぼ不眠不休で戦い続けられるう兵士が何人か育った。その一人が物語の主人公・カンボである。宇宙飛行士の腸から採取された幹細胞で作られる内臓を移植された彼は自らの身体反応だけで周りの人間の身体はどんな状態にあるかを読み取ることができた。言葉を交わさずに大事な情報を得る能力はまさに諜報活動に相性抜群なもので、カンボは偵察総局に招聘され、韓国との国境を何度も一人で行き来するようになり、人民軍屈指のスパイとなった。
カンボの事例から成功体験を得た上層部は、自律臓器の量産を試みて、最初の腸からひとセットの臓器を作り出して、それを東欧州への武器密輸船にカンボと一緒に乗せて、長期的かつ安定した臓器ビジネスの展開が期待された。
しかし船は日本海で沈没し、彼だけが鳥取県の海岸に漂着する。
清潔で衛生状態の良いことで普通の国の観光客に評判な日本だが、戦場や裏路地が多い韓国に適応したカンボの腸にとっては栄養が不足した砂漠に等しい。幸い、味噌や醤油などの菌の種類が多い発酵食品工場、そして夜になると定期的に廃棄食品やゴミが出されるコンビニが彼にとって生存上少ない救いとなった。カンボは韓国を目的地として西日本を横断し始めた。
あるとき、コンビニでゴミを貪るカンボが店員に見つかり、警察に通報された。素早い動きで警官を倒したカンボの動きは監視カメラに撮られ、先日日本海で沈没した北朝鮮の密輸船との関連性がバレたのである。
実は船に乗せてあった人工臓器のコンテナがカンボが漂着した近くの海岸に打ち上げられ、臓器に地球にはない細菌株が見つかったので、生物兵器を投下した疑いで公安と米軍がすでに水面下で動き出した。
最後にカンボは福岡港へ辿り着く。そこで二人の公安警察官が彼を止める。一人は彼を危険な生体兵器と見なし、もう一人は彼を国家に身体の主導権を奪われた可哀想な人間としてみてカンボを説得しようとした。死闘の末、米軍ヘリの銃撃が彼を貫く。倒れたカンボの身体は動かなくなる。だが腹の奥だけが、なお静かに蠕動していた。
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内容に関するアピール
もし現代社会自体にアレルギーを持った人間がいたら、その人はどうやってこの社会から脱出できるのか。というアイデアでこの物語を着想しました。
主人公はスパイであるが、日本での行動は一癖のある観光客と変わらない。それなのに追われている。そこに物語の緊張感があると考えてますが何か物足りないとも感じます。もしかしたら、日本側の公安警察の視点も入れたら面白くなるかもしれません。何かアドバイスをいただけたら幸いです。
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