贖罪のゲーム

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梗 概

贖罪のゲーム

意識が電子化が可能になった近未来の世界で、重罪を犯した人間は刑罰として、専用の電子空間のサンドボックスに意識を送られるようになった。これは物理的な刑務所における長期刑の囚人運用はコストが高いことを背景としていた。

主人公のシンは現実世界で有罪判決を受け、肉体の廃棄と意識の無期限隔離刑という実質的な終身刑を言い渡され、気が付けばそのサンドボックスに入れられていた。そこはグリッドの引かれた無限に広がる空間だった。シンのポケットの中には無限に供給され続ける、自分だけに固有の色を持った掌ほどの石のオブジェクトがあった。

歩き続ける中で摩耗していく精神の中で、数十年も先住するナユタに出会う。彼女はこの世界の活動として多次元オセロを教える。角があるかも分からない永遠にも近い盤上で”あがる”ことが出来たら、この世界から脱出できると彼女は信じていた。

彼女と過ごす中で、シンは活力を取り戻す。この世界を歩き続ける中で、様々な社会と出会う。ある地方では石の色味ごとに効果を持たせて遊ぶカードゲームのような遊びが流行り、別の地方では、ひたすら石を高く積み上げ、あるかどうかも分からない世界の天井から脱出を目指す、バベルの塔ごとき社会が形成されていた。シンにとっては、精神の死を免れるために、人々が必死に無意味な世界に何らかの意味や信仰を見出そうとしているのかもしれない思える。

ある日二人はこの世界の現象であるビビットな無限色の石の波、彩流に飲まれてしまう。無限の色に埋め尽くされ、奔流が去った後、ナユタの姿はどこにもなく、離れ離れになる。この無限の広さを持ち、無限色の石に埋め尽くされた世界で、特定の色を持った個人に再会することは不可能だった。

ナユタを失ったシンは精神的に不安定になり、無限色の石の平面に自分が捕まることになった理由を蜃気楼のように見始める。シンは有罪判決を受けたが、他人の罪を被り、本当は罪を犯してはいなかった。しかし捕まったことで、現実での娘との約束を果たせなくなる。いち早くの脱出を望み、天井と地下の垂直軸で脱出を試みる。

気の遠くなるような時間の果てに、シンは天井と床を石で穿ち続けるが、同じく投獄されたサンドボックスの設計者ハルジと出会う。彼は残酷な真実を伝える。

ここは隔離された環境であり、終身刑の受刑者を前提として出所などは最初から想定されておらず、外という概念自体が幻想であること。また、最低限の構成要素・ルール下でどうやって自律的な社会や新しい創造性をバグのように発生させるかを観察するライフゲーム的な実験場を兼ねていること。体感時間は現実の数万倍に引き伸ばされているということなど。だから、元の世界を忘れて、新しい文化を築くことが、唯一ここで人間らしく生産的に生き続ける道だとハルジは語る。

シンは自分が現実に娘を置いてきたことに対する罪を思いながら、その贖罪を考え続ける。

文字数:1195

内容に関するアピール

『シーシュポスの神話』に不条理的な世界観の着想を得つつ、ライフゲームのシミュレーション的な話と脱獄ドラマっぽい話が出来たらと思ってます。着地点は模索中で、どうにか脱獄する道を用意したいですが、この設定に対してどうやって実現できるかを考え中です。

文字数:122

課題提出者一覧