梗 概
“パパ”活トピア東京
西麻布で”パパ”につきまとわれる三笠ゆいを助け、秋篠つばさは初心者のゆいに”パパ”活の初歩を教え始める。かつて敬愛した先輩を思い出し、つばさは感傷に浸る。8年前、港区へ隕石が《到来》し、体長5mの羽蟻生物”パパ”が現れ、”パパ”の吐く腐食性菌糸で東京中の構造部が融けた。封鎖され混乱する東京で戸惑うつばさは、高円さなに同じように助けられた。
“パパ”活女子は東京の地中に出現したエド・トリュフの匂いに敏感で、土を掘れない”パパ”の代りにそれを採取し、”パパ”の胞子嚢と交換する。胞子嚢風呂は女子の身体を自由自在に生まれ変わらせ、不老と理想の美を与える。ゆいと双子コーデ楽しみながら、特級トリュフを集め、手懐ける”パパ”を増やし、トリュフを密猟する男達を撃退する。トリュフは美食家を虜にしており、高値で取引されるからだ。トリュフを売った金を貯め、理想的に美しい身体で東京から脱出したい。つばさは願っていた。
女子を融かす菌糸を吐く変異”パパ”がうろつきはじめ、”パパ”活女子達が警戒する中、ゆいが唐突に元の容姿に戻り、あの日西麻布でつきまとっていた”パパ”と共に、トリュフを持ち失踪した。ゆいのように胞子嚢整形を繰り返した者は普通、正確な自分の元の姿を忘れるが、なぜ元に戻れたのか? つばさは変異”パパ”との関係を疑い、ゆいを探す。
ゆいを目撃した密猟者達から、変異の原因がエド・マジックという人工トリュフだと聞いたつばさは、出処の菌糸町を訪れ、さなと再会する。さなは昔のつばさ姿をして、臨時東京府の重役、仲里廉太郎に侍っていた。「おれ好みに戻れば、東京から出る道を作ってやる」仲里は言うが、つばさは拒否する。誰かに求められた美などごめんだ。
スカイツリーの下、つばさは自分の容姿と仲里との関係を奪ったさなを罵り、”パパ”を使役し、変異させる目的とゆいについて問い詰める。さなは変異”パパ”を呼び、つばさを拘束して菌糸で融かす。トリュフとエド・マジックを食べた結果、羽蟻のような容姿になったゆいが現れ、”パパ”と共につばさを助けるが、ゆいは東京府機動隊に撃墜され死ぬ。さなも重症を負う。
西麻布のラウンジの胞子風呂でさなを回復させたつばさは、仲里や男達が汚らわしい”パパ”活女子を撲滅し、トリュフ採取を独占するため、変異を生み出したと聞いて憤る。追悼のため、ゆいの姿になり外に出ると、あの”パパ”が寄ってきて、つばさは”パパ”達の使う菌糸網に接続する。その”パパ”の中には、《到来》時に菌糸網に取り込まれたゆいの元カレの愛の記憶が鮮明に残っていた。それ故にゆいは元の姿に戻れたのだ。自身の元の姿を誰も覚えていないのをつばさが残念がっていると、”パパ”が東京タワーに飛び、胞子と菌糸を撒き散らす。胞子からはゆい型の菌糸体が無数に生まれ、子”パパ”の上で歩き出す。
つばさが菌糸体ゆいを引き連れて仲里を制圧しに向かうのを、さなが尊敬の目で見つめている。
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内容に関するアピール
TwitterでSNIDELのワンピースの画像が流れてきたので可愛いなと思い、妻に話したところ「SNIDELはパパ活女子御用達ブランドやで、いきなりどした??」と言われました。「つまりそういうことだよ」と返すべきだったかもしれません。第1回でパパ活について書いた人だと言われるのはリスクな気もしますが、レンタル彼女やパパ活を扱った漫画がドラマ化する昨今ですし、意外と裏社会モノはみんな好きなのでノーリスクかもしれません。
実際のパパ活はパパに望まれる美しさ(=パパ活女子っぽい立ち振る舞い、容姿)に女性が近づいていかざるを得ない権力関係があるわけですが、本作の”パパ”は美貌には興味がありません。むしろ、嗜好品を食べて女性に美を与えます。そのうえで、女性の美は自己決定的です。その辺の反転をパパ活のジャーゴン(「大人の関係」など)を使いながら描いて、いい感じに笑えるといいと思ってます。きのこのことば見たいな記事も最近見かけましたし、”パパ”活のジャーゴンの仕組みを馬鹿らしいぐらい真面目に書きたいです。
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