世界は今日もオールグリーン

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梗 概

世界は今日もオールグリーン

 ネットワークの普及と環境保護活動が実を結び、正しさが充満した近い未来。 
 郊外にある群緑学園は広大な敷地の端から木造建築の校舎にまで植物が張り巡らされており、地球に優しく自然と共生する理想的な高校と評されている。
 生徒である種村は、真面目で気弱で温室育ち。理事長の母に勧められるがまま、学園の治安を管理する花形組織、美化委員会に所属している。

 ある日事件が起きる。「この世界は植物に支配されている」そう書かれた紙が学園のシンボルである大樹に貼られたのだ。
 種村が夜に事件現場で待ち伏せをしていると、女子生徒が現れた。同じクラスの草薙だった。「人間は植物の繁殖の奴隷」「植物は五感以上の感覚を持っており人間の行動を読み取っている」「植物って皆からちやほやされててなんかうざい」などと彼女は言い去っていった。
 種村は委員会に報告しなかった。彼女の主張はよくわからなかったが、母に従って生きていた彼にはアウトローで少しかっこよく映ったのだ。

 翌日、種村は教室で草薙と目が合う。彼女は普段は友達がおらず地味に過ごしており、昨夜色々語ったテンションが恥ずかしかったこともあって黙って目をそらす。種村が勇気を出して話しかけると草薙は驚きつつ嬉しそうに応答する。母親の愛と植物の支配、似た閉塞感を持っていた二人は少しずつ仲良くなっていく。

 ある日、美化委員会は犯人の発見に乗り出し小テストを出す。問題はシンプル。植物の素晴らしさについて書きなさい。
 草薙はぐぎぎと歯噛みし、おとなしく答えると見せかけて縦読みを忍ばせるという小物っぽい反抗心を見せる。しかし普通に見抜かれバレる。美化委員会と対面し「お前らだってお茶とか飲んでんだろやーい殺人犯」と煽るも論破され、さらに犯行の姿は記録で確認されていると言われる。種村はならわざわざ探した意味はなんだったんだ、そもそもカメラとかあったかと訝しみつつ、草薙をかばう。そして共に罰を受ける。

 罰の内容は草むしりだった。草薙は優しい罰に舐められてると毒づきつつ、樹を見上げる。よく考えたらこんな植物が人間を支配してるわけない。自分は日常生活の不満を陰謀論にぶち当てていただけと悟る。よく考えなくてもそりゃそうだろと種村は思ったが、彼には初めて自分の欲望で行動した達成感があった。二人ともちょっとだけ勇気を出して、友達を得た。そして世界と向き合うことに成功したのだった。

 そんな円満解決を見ている存在があった。それは彼らの周囲、学園に張り巡らされた植物だった。学園は植物の生理的機能を利用したネットワークの研究をしており、学園における行動は植物により全て監視されていた。この文章は植物による人間の観察記録だったのだ。植物は本当に能力を持っていたし、それを管理している理事長の母親は我が子の成長を見守り喜んだ。母親の愛と植物の支配からは逃げられない!

文字数:1187

内容に関するアピール

特徴はまず何よりも、ライトノベルっぽいということです。くだらないギャグや賑やかな会話を書くのが好きです。そういう楽しいテンションでちょっと深いことも言いたいという欲望があります。

SF要素はもっと頑張りたいですが、自分がSFに触れていてワクワクすることもあれば、ハードな描写が続くとあああわかんない!となってしまうのも正直なところなので、その感情を踏まえつつ勉強していきたいと思います。

 内容については、植物とか正しい世界とかなんか嫌だというピュアにひねくれた気持ちを正直に書きました。そしてそういう人間がちょっと他人と話したらハッピーになるという単純さも自分の感覚です。

 最後は叙述トリックが好きというのと、意識はしてなかったのですが偶然にも自分はニートなので、ぴったりのオチになりました。

 良くも悪くも自分の特徴が出た話にはなったと思います。以後よろしくお願いします。

 

文字数:385

課題提出者一覧