梗 概
怪奇! ツチノコ牧場
窓際に追いやられているテレビマン・来栖は、ネットで噂の「ツチノコ」の取材を考える。その噂とは、あの伝説のツチノコがついに発見され、そればかりか北海道の山中で養殖されており、蒲焼きとして販売されているというものだ。SNSには放牧されているツチノコや、ツチノコを捌いて裏返す動画像がアップされているが、全てフェイクと見做されていた。試しに蒲焼きを通販で購入したところ、うなぎとも違い、なかなか美味しい。来栖はレポーターの芸人・はるみ、ツチノコ研究の大家・川本とともに、北海道のある寒村を訪れる。
村は予想外に潤っており、これも全てツチノコのおかげだという。しかしいざツチノコについて話を聞こうとすると、村人はみな口を閉ざす。雲行きが怪しくなるが、蒲焼きを販売するムラタ牧場にアポを取ったところ、あっさり撮影の許可が降りる。
ムラタ牧場は、険しい山道を行ったところにあった。加工場も併設され、村人の多くが働いている。蒲焼は世界各地に出荷されているが、国内では未だにその実在を疑われている。こんな山奥まで取材に来るメディアもなく、来栖たちの撮影は願ってもない申し出だと牧場主のムラタは歓迎する。
ツチノコ研究の大家・川本は、「そもそも北海道にツチノコはいない」と懐疑的だったが、生涯を賭けて追い求めてきたそれが何万匹も日向ぼっこしている光景に卒倒する。ツチノコは実在したのだ。これは話題になると興奮する来栖たち。施設を一巡した後、加工場でインタビューを敢行するが、その最中に事件は起こった。
天井より巨大なツチノコが現れ、従業員を丸飲みしたのだ。警報が鳴る中、ムラタは姿を消す。防護壁が降り、来栖たちは施設に閉じ込められる。出口を探していると、狂暴化したツチノコ軍団に襲われる。ピュンピュン跳んでくるツチノコをかわし続け、往年の勘を取り戻した川本の活躍により辛くも助かるが、芸人・はるみは巨大ツチノコに飲み込まれる。
来栖たちは古ぼけた扉を発見する。表面には「大日本帝國」の文字。扉は地下へつながり、何かの実験場のようだった。いい匂いがしてきた。奥ではムラタがツチノコを開いて焼いていた。
ムラタは語る。なぜツチノコの目撃談は各地にあるが捕まらないのか。それはすぐに別の次元へ逃げてしまうからだ。彼らは次元を自由に行き来できる高次存在、いわば次元ツチノコである。我々が観測できるのは彼らの一部分にすぎない。そのため本来は無限に長い蛇なのだが、この世界ではあのように短く、扁平になっている。
そして、とムラタは蒲焼をひっくり返しながらいう。ここは元々その力を利用しようした軍部の研究施設なのだ。実験は失敗し、裏と表がひっくり返り、今では全てツチノコの胃の中だがね。
川本は、来栖に施設内の人毛を集め燃やすよう指示する。その煙はやつらの好物だ、何か反応があるかもしれない。しかし壁はじっとりと濡れ始め、消化が始まろうとしていた。
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内容に関するアピール
ツチノコパニックものです。
ツチノコは別名「ゴハッスン(太さ五寸、長さ八寸)」ともいいますが、それくらいのサイズ感の生き物がピュンピュン跳んできます。
それを華麗にかわしていなして応戦します。
調べてみると、ツチノコは、攻撃方法はシャクトリムシのように身を縮めてからピョーンと跳んでくるというユーモラスなものなのですが、ピンポイントで頸動脈を狙ってきたり、少量で死に至らしめる猛毒を持っているなど、殺傷能力は凶悪です。
実作ではツチノコのマスコット的な可愛らしさと、凶悪な狩人としての二面性を描写したいと思います。
それと次元を超越できる設定なので、いつ、どこから襲われるかわからないなど、そういった緊張感でもアクションを盛り上げることができればと思います。
ツチノコのギャップ萌えを目指します。
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