梗 概
大谷プログラム
2001年にアメリカに来てから、19年の野球は全く違う野球になりました。頭を使わなくてもできる野球になりつつあるような。これがどうやって変化していくのか。次の5年、10年、しばらくはこの流れは止まらないと思いますけど。
心肺機能正常、奇形変化なし。しかしそんなことはどうでもいい。
リンク率19%、大谷翔平とは程遠い赤羽一平に価値は無いのだから。
始動した頃の大谷プログラムは、野球スクールを中心とした二刀流育成プログラムだった。日本が禁断の果実に手を出したのは、ユダヤ人を中心に投資家によって形成された世界政府が、スポーツの充実した国に多額の援助を送るようになってからのことだ。
政府は安全管理という建前で採取した国民の遺伝子と大谷翔平の遺伝子を徹底的に研究し、ついには全く異なる遺伝子に薬を投与し続けることで、大谷翔平の遺伝子に近づけることを可能にした。もちろんこれには大きなリスクが伴うが、無職固定給者の欲をつついてお金を積めば幼い実験体を集めることは容易であり、制度対象者ほど、AIに奪われるまでは運動量やストレス体制を求められる仕事についていたため、子供の遺伝子の質も優れていた。
元運輸業の父を持つ赤羽は筋肉の質も野球センスも優れていたが、体格に伸び悩み、両親のために薬の投与を倍にした結果、薬を拒絶する身体になり、そのままの状態でプロリーグ昇格トライアウトに挑むことになる。トライアウトに敗れたものの選択肢は二つ。全身整形後に記憶を消されて日常生活に戻るか、日の目を浴びない地下リーグ「モグラ」に追いやられるか。
これ以上能力の向上が見込めず絶望する赤羽だったが、薬の大量投与によって脳内に大谷翔平と自分の2つの思考が生まれていることに気づく。大谷翔平の思考を使いプログラム成功者の弱点を把握した赤羽は、145キロに満たないストレートと緩急を使ってプロ達を翻弄した。彼らは、優れすぎていた。本物と違い、同等の高いレベルで野球をしすぎていたのだ。
「腕千切れるまで投げたるぁ!」
打席から見たマウンドの赤羽は、イニングを重ねるごとに大きく見えた。そしてそれは、周囲の観客をかつてなく虜にした。その小さな体格に自分を重ね、祈りながら見つめる観客もいた。
一度は落選した赤羽だったがファンに与えた影響は大きく、2年後にモグラから昇格した赤羽は、小さな身体で頭を使い、日本のみならず世界から注目される選手になっていく。
その頃日本では、二重人格プログラムが開始されようとしていた。
日本の野球は頭を使う面白い野球であってほしいと思います。アメリカの野球を追随する必要はないと思うので。アメリカの野球の流れは変わらないと思うので、せめて日本の野球は大切にしなきゃいけないものを大切にしてほしいと思います。
いやぁ、締まったね最後。眠いでしょ、みなさんも。じゃあそろそろ帰りますか。
文字数:1192
内容に関するアピール
イチローが去り、大谷翔平が生まれる。
100年に一人の逸材が作り上げた歴史と、積み上げる歴史。
その先の野球界は、どうなっていくのか。
僕が一番気になってます。
イチローの引退会見がね、頭から離れないんですよ。
おそらく今の野球界のダメさを語っているんですけど、
それが何かは僕らには分かりませんし。
そして僕の仮説ですが、
これからもっとダメな方に行くんじゃないかな、と思ってます。
テクノロジーや技術を活かす材料が、機械ではなく人に向く時代が来ると思っています。怖いですね。
今回の目的は2つです。
・100年後も野球は面白そうだと思ってもらう。
・100年後も、天才に勝る凡人はいるんだとみんなで安心する。
どんだけ時代が進んでも、大事なのは人間であり続けることやと、
僕はそう思います。
そう思ってもらえるもんを、書きたいんです。
文字数:364