梗 概
The Day before WWIII ?
2045年の春。主人公の青年、山田が住む家の庭にツムギという女性が現れた。彼女は自らを、こう主張した。自分は歴史を変えるために100年先の未来からやってきた、と。「2145年の世界は、その100年前に日本で発生した事件がきっかけとなって勃発することになる第三次世界大戦の影響で荒廃している」とのことだった。
突然のことに混乱する山田青年を尻目に「この年に日本で開催される国際会議でテロが発生し、それがきっかけで第三次世界大戦が勃発する」「山田青年に迷惑はかけられない。人目を忍んでそのときに備える」というようなことを言ってツムギは出て行く。そのツムギの左腕には山田青年が普段から身につけているものと瓜二つの腕輪がはめられていた。
その後、今度は山田青年のもとへ、カイドーという名の男が現れる。カイドーはWW3のおかげで財を成した実業家であり、またツムギの婚約者でもあるが本人に拒絶されていると説明する。山田青年は、ツムギには両親の他に妹と弟がおり、家族の反対を押し切って過去にやってきたということをカイドーの口から知る。
ツムギは時折、山田青年のもとへやってきては去って行く、ということを繰り返すが、国際会議の開催日が迫る頃、山田青年の家に来るのも今日が最後だ、と言った。そこにカイドーが現れた。「歴史を変えさせるわけにはいかない」といって山田青年とともにツムギを拘束する。
そして始まった国際会議。カイドーは「歴史の証人になるのだ」といって山田青年とツムギはカイドーとともにネット中継で会議の様子を観る。
会議の最中、ネット中継を伝えるモニターの向こうで突如、黒いマスクと戦闘服を身につけた男たちが現れた。テロリスト集団だ。
テロリストたちは大国の指導者たちを狙うようにそちらのほうへ向かっていく。
山田青年はそのライブ映像に目を奪われる。だが次の瞬間、ひとりのテロリストが、他のテロリストたち全員をなぎ倒す。やがて押し寄せた警察官によってそのテロリストは取り押さえられたが、直前にかぶっていたマスクを取った。ツムギと同じ顔。
ツムギは山田青年とカイドーに言った。
「あなたたちが歴史の証人です」
さらにカイドーにむかって「婚約者なのに姉と私の区別もつかないんですね。クズ野郎」と言ってその場を去る。カイドーは失意のうちに去って行く。
迎えた8月のある日。山田青年は自室で差出人不明の手紙を見つける。そばには見覚えのある腕輪も置いてあった。手紙には山田青年と会えて良かった、という意味の内容が綴られていた。自分の腕輪を預ける、とも。腕輪の裏側には年号と文字が彫られている。実は、山田青年が右手につけている腕輪の裏側にも全く同じものが彫られている。
ツムギと名乗った、本名も知らぬ女性は言っていた。
第三次世界大戦は2045年8月15日に勃発する。
今日は8月14日。答えがわからないまま、明日その日を迎える。
文字数:1201
内容に関するアピール
歴史小説でもミステリーでもファンタジーでも、もちろんSFでも、読んでいて先の展開が気になる物語が個人的には好きです。
時間を飛び越えて歴史を改変することがテーマとなった物語は古くからあるのは承知のうえで、今の自分が読みたいと思う物語を書きました。
細かく作り込まれた設定だとか、新奇な技術であるとか、そういったものはありません。
物語の根底にあるのは人間同士が関わり合うからこそ生まれるドラマです。
気楽な気持ちで読んでもらえれば幸いです。
文字数:216