イドモナラクネ

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梗 概

イドモナラクネ

 主人公のコモン・リンドウは総務部所属の一社員。

 コモンの部下にミア・アサヒカワという女性がいる。彼女は対人関係のトラブルで転属になったのだ。元々、ネクロボティクスという死んだ生物の体を動かすロボット工学の研究をしていたらしい。彼女はお近づきの印とコモンに自作の蜘蛛型ネクロボット、イドモナラクネを押し付けたのだった。

 イドモナラクネは糸を吐くくらいしか出来ない役に立たない上、デスクを動き回り、作業を妨害しようとする。最初は嫌がっていたコモンだったが、次第にイドモナラクネに『心』を感じ、愛着を持つようになる。

 同じころ、企業の対人業務が劇的に減少していた。コモンは理由を調査するよう命じられる。調査はなかなか進まなかった。が、アヤト・マキシマと出会うことで一変。彼の経営するマキシマ・エンタープライズが新型補助ロボット『mitos(ミト)』を無料提供していたのだ。mitosは好気性生物型人体埋め込み式補助ロボットだ。アヤトは人間には欲望をほどよく抑制し、幸福に、効率的に生きる技術が必要だと言う。 

 翌日、ミアは普段と変わらないように見えるが、イドモナラクネが戸惑うような仕草を見せた。コモンは、ミアがmitosを導入したのだと直感した。

 連絡を取るとアヤトは快く応じた。ミアを連れて会いに行くと、開口一番彼は「イドモナラクネは出糸突起がなく、糸を上手く操れなかった。まるで僕たち旧式の人間みたいだと思わないか?」と語り始める。 アヤトはmitosの導入は出糸突起を人間に作るようなものだと言った。真の糸を分泌する能力だけではなく、上手く操る能力を獲得し、創造性豊かな巣を作るように。元々mitosは太古の好気性生物を復元し、ネクロボット化したものだった。人間と共存し、欲望を自覚する前に察知し、効率的に享受出来るよう内部から働きかけるロボットだという。アヤトはミアから思考の特性を強制的に変更させる必要があると感じていると相談されたらしい。だからmitosを渡したと。コモンはアヤトの言葉に嫌悪感を抱いたが、一方で、ミアがの望んだ事ならば唯の上司である自分に怒る権利があるのかと葛藤する。

  葛藤を他所にイドモナラクネはアヤトに飛び掛かる。アヤトは笑って「イドモナラクネはmitosのご先祖様にとっては天敵だった」と言った。ミアが作ったネクロボットがイドモナラクネをベースなのは運命だと感じたコモンは、イドモナラクネと共にミアからmitosを引きはがす。コモンはミアに対し「人との距離感が変でも、人と上手く話せなくても俺にとっては大事な部下だ」と言った。

文字数:1081

内容に関するアピール

ネクロボットという技術を何とか作品に落とし込みたかったので書いてみました。本当は環世界の話とか、ネクロボットと人間の知覚の共有とかを盛り込みたかったのですが、まとまらず断念しました。色々無理がある。でもこれ以上書けません。実作で何とか……。蜘蛛なのは趣味ですが、何度やっても画像検索でぞわっとします。お目目かわいいんだけどなぁ。毛むくじゃらの足とか見るとやっぱりぞわっとする。イドノアラクネのサイズはルンバくらい大きいイメージです。だいぶ邪魔。よろしくお願いします。

 

▼参考にしたもの

https://nazology.net/archives/112492/2

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/b/033100025/

文字数:334

課題提出者一覧