受講生のみなさん、今回は、自分の人生をSFにしてみてください。
初恋でも、友達のことでも、昨日のご飯でも、なんでもいいです。大きなネタではなく、ささいなことでだいじょうぶです。
ただ思い出をネタにしてくださいという意味ではなく、記憶に結びついた自分のなまの感情をSFにのせてください。主人公をあなた自身にしなくてもかまいません。ストーリーやSFギミックを、頭で考えたものではないドラマやなまの感情に繋げることで、SF的な見せ場を組み立ててほしいのです。梗概に縛りがないように見えるでしょうが、梗概の段階でどうなまの感情とSF要素で物語の核を組み立てるかを考えておくのは、突き詰めるほどやりがいがあるはずです。
なまなましい生と物語の関係は、現実世界ではなくSFであることで、距離をいじったり歪めたり別の角度から見たりと、操作し展開することができます。それは、自分自身と世界をより深く掘り込む、大きな手がかりになるはずです。
ぜひ、みなさんの生を、SFに加工してみせてください。
(長谷敏司)