ハッカー、クマを釣る

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梗 概

ハッカー、クマを釣る

 21世紀後半のある夜、義体化した男をクマが襲う。

 札幌で人喰いグマの出没が相次いでいるというニュースを見るアカネ。彼女のもとに、クマの駆除依頼が舞い込んでくる。

 ハンターの高齢化への対応策として導入された〈マタギロイド〉は狩猟の無人化を推し進めたが、十五年前に起きた暴走事故(山中に配備されていたマタギロイドのうち一体が野生動物を手あたり次第に射殺した挙句人里でも同様のことを行った。死者多数)以来、暴走する“かもしれない”戦闘機械など獣と変わりないという風潮が強まり、狩猟はふたたび人間の手で行われるようになっていた。若いハンターの中でも、アカネは腕利きとして知られていた。

 アカネは仕事を請け負い、クマの捜索に当たる。しかしクマは人目を避けて動くことに異常なまでに長けており、なかなか尻尾を掴ませない。電子化された都市の中で、犠牲者だけが増え続けた。
 そんな折、ブランクと名乗るハッカーが、ネットを介してアカネに接触する。彼によると、現在巷を騒がせているクマはただのクマではない。サイボーグ忍者グマなのだった。脳内デバイスによってAIと融合したその獣は、ハッキング能力を備え都市中から膨大なデータを収集できる。それを活用して狩りを効率化していた。
 ブランクはアカネに、“クマを釣る作戦”を提案する。それはクマの電脳に逆ハッキングを仕掛けて罠にはめ、アカネがとどめを刺すというものだった。姿を見せろと要求しても、自分には見せびらかせる身体がないなどと言って躱すブランクにアカネは不信感を抱くが、これ以上死者を出さないために彼に協力することを決意する。
 ブランクはこれまでにクマが残した足跡を、サイバースペースとリアル、二つのレイヤーから収集し、総合する。そこから導き出した“けものみち”を頼りに、次にクマが現れそうな場所を絞り込む。
 その情報をもとに、アカネはクマとの邂逅を果たす。しかし一頭だけのはずが、多数のクマが彼女の目の前にぞろぞろ出てくる。理解を超えた状況に、困惑するアカネ。対してブランクは、それは彼女の視覚をハックしたクマが作り出している幻影にすぎない、自分の指示通りに本物を狙い、それ以外は無視しろと言う。もしブランクの言っていることが間違っていたら自分の首が飛ぶ。逡巡するアカネに、ブランクは信じろ、と言った。刹那、アカネにクマの嵐が襲いかかる。そしてアカネはクマを討ち取った。
 その直後、クマの死骸とアカネの前に旧式のマタギロイドが現れ、ブランクと名乗った。ブランクはかつてマタギロイドの暴走によって身体の大部分を失うも、人型の義体が上手く馴染まず、仮想空間で暮らしていた。やがて彼は、マタギロイドの暴走が軍需産業によるデモンストレーションだったこと、そしてサイボーグ忍者グマの正体が高い膂力と冬眠による長期作戦行動をコンセプトとした動物兵士のプロトタイプであることを突き止めた。アカネは制御不能となったそれを処分するために雇われたのだった。ブランクはアカネの目の前でマタギロイドからクマへと身体を乗り換え、彼女の雇い主かつ、自分が身体を失った出来事の首謀者のもとへと向かった。

そしてある夜、男をクマが襲う。

文字数:1316

内容に関するアピール

テレビ見ててクマ怖いな、と思ったところからもっとクマを怖くするにはサイボーグで忍者にすべし、と思って書きましたよろしくお願いします!

文字数:66

課題提出者一覧