マエストロ~まだ見ぬ巨匠たち~

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梗 概

マエストロ~まだ見ぬ巨匠たち~

『マエストロ~まだ見ぬ巨匠たち~』は、各業界の若きマエストロたちをフィーチャーするテレビ番組。

今回の取材対象は若林浩一郎(27)。畜産・精肉販売を手がける若林牧場の三代目だ。

食肉偽装問題により業界に逆風が吹き荒れる中、若林が仕掛けたのがピンク・スライム・ミート(通称:ピンスラ)。ピンスラは全長約1m、胴回りは30cmほどの食用ワーム。アオイソメのような口と歯を持つ。

七年前の食肉偽装事件により、若林の父・浩之助(73)が逮捕され、牧場は経営の危機に瀕した。留学先から緊急帰国した若林が持ち帰ったのが、ピンスラだった。

広大な牧場の敷地(獣除けの罠に嵌まっていた仔ピンスラを取材班が助けるハプニングも)には様々な施設が揃う。加工場で若林が紹介してくれたのは、実習生として働くジミー・マグワイア(32)。

高品質なピンスラを安価に供給できる秘密、それは「人間」にある、という。

(と、取材班の目の前で、ジミーは天井から伸びてきた何かに吸い込まれ、消えた。説明を求めるも若林は回答を拒否。取材は日を改めることとなった。)

名門牧場の三代目の人生は、平穏ではなかった。若林が小学校へ上がった年に、祖父・浩之進(享年113)が食肉偽装事件で逮捕。若林は壮絶ないじめに遭う。そんな若林の元に現れ、心の支えとなったのが、一匹のピンスラだった。その小さな友人はいなくなってしまったが、その後も、ピンスラに牧場の経営危機を救われた。だからピンスラは「救い」なのだと、若林は語る。その瞳に、取材班は巨匠の炎を見た。

若林の夢の王国を改めて訪問した取材班が目にしたもの、それは惨劇だった。ジミーを飲み込んだあの怪物──超巨大ピンスラが、手当たり次第に牧場スタッフを食らう。

混乱の中、若林は姿を消す。警報が鳴り、防火シャッターが降りる。完全に閉じ込められた。若林を探す取材班だったが、怪物と遭遇し、死を覚悟する。が、先日罠から助けた仔ピンスラに地下への逃げ道を案内され、急死に一生を得る。

地下施設の奥で若林を発見するが、常軌を逸した様子で突如、取材班に襲いかかってくる。と、取材班を守るように立ちはだかる仔ピンスラ。それを見た途端、若林は苦しみだし、頭を抱え去っていった。

三日が経過し、飢えが限界に達した取材班は、傍らにいた仔ピンスラを食す。一息ついた直後、怪物が現れる。死を覚悟した次の瞬間、怪物が吹き飛ぶ。助けに来たのは若林だった。

再び地下へ避難した後、取材班は右腕がピンスラに浸食された若林に取材を試みる。牧場に隠された忌まわしい真実(人体実験)を語り終える若林。その時、牧場スタッフの生き残りたちが、地下施設へなだれ込む。暴徒と化したスタッフは若林を襲うが、若林を守るようにあの怪物が立ちはだかる。攻撃に傷ついていく怪物、超巨大ピンスラ。かつての友人の面影を見た若林は、声にならない叫びをあげる。

と、怪物が何かを吐き出す。それは父・浩之助(73)だった。父は、息子を指さし、「全ての元凶は……そいつだ……」と告げる。若林の右手が伸び、父を押しつぶす。今までにない表情を、若林がカメラに見せた。牧場スタッフたちも、再び若林に襲いかかる。若林牧場の全員の気持ちが、一つになった瞬間だった。

Q.若林さんにとって、マエストロとは?

若:そうですね、夢を追いかけてる人なら、誰でも途中で諦めて、全てを投げ出したくなる瞬間ってあると思うんです。でもそこでもうちょっと頑張って、もうちょっと登ってみたら見える風景がガラリと変わることってあると思うんですよね。どんなにつらくてもそのもうちょっとを繰り返して自分にしか見えない風景があることを信じて進む、それが、

──そう語る若林の表情は

若:プロフェッショナルですかね。

──輝いていた!

文字数:1545

内容に関するアピール

地元で友達と釣りに行った時に、イソメを餌にしてたんですけど、思いのほかグロイというか、キモイというか、怖くて全然触れなかったんですよね。
 何かブニブニしてるし、針を刺すときの感触も嫌だし、血も出てくるし……というかもう造形的にありえなくないですか? モンスターとして完璧すぎるじゃないですか。
 でもこっちの都合で命奪われてるのに(しかも娯楽で)、さすがにキモイとか言うのは申し訳ないというか、よくないですよね。そんな気がしてきました。
 なので贖罪というわけではないですが、イソメが人間を食べる側になる話にしました。
 実作を書く場合、作中に出てくるワームはマスコット的に、キモ可愛いくします。
 それと全体の雰囲気としては、ドキュメンタリー番組風にナレーションが入ったり、登場人物にそれっぽくいい感じのことを言わせたりしようと思います。

文字数:366

課題提出者一覧