梗 概
我らの米は世界一
ある時、分裂する白米が出来た。
光と水を与え放置すると、勝手に増える白米だ。しかもたいそう美味く、大量に用意できるから価格も安い。まさに夢の食料であるその分裂米は瞬く間に広がった。
分裂米が食事の主役となってしばらくした後、分裂米研究に携わっていた研究者達が一斉に失踪した。様々な組織が懸命に調査したが、どこも見つかったのは人の形をした米の塊だけだった。
実は分裂米は、人体に被害をもたらす単細胞生物だった。
分裂米を一定量食すと、意識は乗っ取られ、体の至る所から白米が生える。体中の白米は増え続け、最終的には白米の塊となって死ぬ。食べた筈の白米に、自らが食べられてしまうのだ。
更に意識を乗っ取られた米人は、周りの人間を見境なく襲い、白米を無理やり食べさせた。両手に米を握り、無理やり口に突っ込んで来る。皆その米を食べたら死ぬと分かってはいるが、素晴らしく旨いのでのみ込んでしまう。そしてその者もまた、米人となるのだ。米死による被害は爆発的に増えた。
米死と米人によって世界は混乱し、終わろうとしていた。
だが希望は潰えていない。それに抗う者たちがいた。それは玄米派。白米を食べていなかった人達だ。
玄米軍は白米軍に対し果敢に立ち向かうが、生産力の違いからくる戦力差は歴然としており、追い込まれてゆく。
この差を戦略と戦術で埋めるにも限度がある。このままでは座して白米と化すのを待つのみ。
そこで玄米軍は一計を案じた。白米と同じく、玄米を増殖させるのだ。
生産力を互角にすれば、栄養価が高い玄米のほうが勝つ。白米にできて玄米にできぬはずがない。玄米派はそう考えていた。
多くの犠牲を払いながらも玄米増殖化計画は成功し、戦況は好転すると思われた。しかし、玄米は精米されれば白米となる。二つを分けるのは僅かな糠のみ。争いの最中玄米軍はどんどん精米されていき、白米軍に吸収されてしまう。
結局、玄米軍は白米軍に併合される形で消滅した。
玄米軍亡き後、白米を止められるものはいなかった。麦派と芋派も滅びた。白米は世界中に広がり、何もかもを吞み込んだ。米洪水である。
そしていつしか米の惑星は炊き上がり、地球はおにぎりとなった。
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内容に関するアピール
米が増えたら嬉しいので、米を増やしました。米の海で泳ぐとか楽しそうですし、米の雨とか雪っぽくて映えそうですし。人間達が食によって少しでも仲良くなれたら良いなという祈りも込めてます。
タイトルは好きなバンドの曲から。
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