虫のお告げ

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梗 概

虫のお告げ

 相原スグルの生活は規則正しい。
 家と仕事場の間を毎日同じサイクルで往復している。朝起きて着替えて食事をして仕事場に行き定時になったら帰る。帰ったら風呂に入って食事をして寝る。いつからこの生活のリズムを繰り返しているのか相原にはわからない。
 相原は過去の記憶が欠落していた。

生活に必要な食糧や衣服は必要な時に補充されていた。相原はそれを当たり前のことと受け止めている。

 そんな単調な生活を相原は不満もなく誰とも会話することなく生き続けている。相原が住んでいる街に他に人がいないわけではない。しかし、仕事場では相原は一人だった。相原の仕事はベルトコンベアで流れてくる部品を組み立てて左から右へ流す単純作業だった。これが何に使うための部品なのか、何処からきて何処へ流れていくいくのか、相原は知らない。この作業を毎日続けなければならない、という思いに相原の心は支配されていた。その思いに逆らうことはできなかった。

 ある日をさかいにして相原の毎日が変調をきたし始める。始まりは一匹の虫だった。相原が仕事場へ行こうと部屋をでようとしたとき靴の中にその虫はいた。手の平くらい大きい不気味な虫で足が10本もある。その奇妙な虫を見て相原は子供のころの記憶がよみがえってくる。四歳くらいのとき悪夢に出てきたこんな虫の絵を描いたことがある。
 その奇妙な虫は日に日に数を増して現れるようになる。

 西暦2125年、地球人類はAIに管理支配されている。
 相原スグルは、そのAIが作り出す電脳世界の中にいる。
 相原はAIを破壊しようとして失敗して捕らえられて電脳空間に幽閉されている。

 このAIは、まるで人間を食べるようにして成長する。
 人間の大脳から知識と意識を吸いとって自分のものにする。
 そしてAIは意識を持ち欲望に目覚めた。
 AIは自分の欲望を満たすために、クーデター張本人の相原を吸収して利用している。

 現実の世界では、相原の仲間たちがAIを破壊して相原を救出しようとするが、ことごとくAIに阻止されてしまう。捕らえられAIに吸収されている相原に、なんとかして連絡しようとする。そして、AIの電脳空間にメッセージとして物質を送ることに成功する。現実世界の仲間が相原にメッセージとして送り続けた物質は、相原がいつも話していた不気味な怖い虫だった。

 AIを破壊する方法は、AIの電脳空間内にあるAIの心臓部を破壊するしかない。
 それは電脳空間にいる相原にしかできない。しかし、AIを破壊すれば相原もまた消滅してしまう可能性がある。

 相原は増え続ける奇妙な虫から仲間たちのメッセージを読み取り、AIに奪われていた記憶がよみがえってくる。
 AIの心臓部を探しだすことに成功する。そして、大量に増えた奇妙な虫の大軍を操ってAIの心臓部を破壊する。
 相原は現実世界に戻ってくる。

文字数:1174

内容に関するアピール

平凡な日常生活の中に、ある物が現れて、それが増加していくことにより、その世界の本当の姿が現れてくる。
というようなストーリーにしようと考えて、このような物語になりました。
増えていくのは奇妙な虫です。虫からどうやってメッセージを読み取るんだ?とか、相原が作業している部品っていったい何なんだ?とか、その他いろいろ突っ込みどころ満載の梗概ですが、奇妙な味わいのある実作にしたいと思います。
AIとか電脳空間とか、このままだとちょっと恥ずかしいので、それらしいネーミングを考えたいと思います。

文字数:241

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