メタモルフォーゼ

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梗 概

メタモルフォーゼ

その惑星からは微弱な電波が発信されていた。
 生命体の存在を調査するために小型探査船がその惑星に向かう。乗員は船長の山本、通信技師の坂田、生物学者の猿渡教授、まだ学生でアルバイト助手の関、以上の四名。地球政府から依頼された民間企業の探査船だった。

 目的の惑星に無事着陸して山本、猿渡、関がその惑星の地表に降りる。微弱電波は至るところから発信されているが生命体は確認できない。微弱電波の発信源の一つを探ると川が流れていたような痕跡を発見する。そこには氷のような物質がある。猿渡教授はその物質を採取して探査船内の隔離室に持ちこんで関を助手にして物質の調査を始める。
 氷のような物質は液体になり、それでも微弱な電波を発信している。関が電波を音に変換すると、初めて耳にする不思議な音のメロディが流れてきた。その音を聞いていた猿渡は何かに操られるようにして液体を飲み干してしまう。
 それから数時間後、猿渡は四十度を超える高熱で苦しみ暴れまくる。しかし、突然気を失い動かなくなる。呼吸もしていない。あの液体を飲んだために猿渡は未知の疫病に感染して死亡したと判断した山本船長は、猿渡教授の遺体を消毒処理して隔離室に保管する。

 関は防護服を着て猿渡教授の遺体を調べた。
 その結果次のことが判明する。
 この惑星には確かに地球のウイルスのような生命体が存在している。
 その生命体はウィルスのように自力で移動することも繁殖することもできない。
 この微弱な電波は、宿主をおびき寄せて採取させて体内に取り込むように、宿主をコントロールしていると思われる。
 宿主の体内に入り込んだ生命体は、宿主の遺伝子情報を書き換えて宿主を別の生命体にメタモルフォーゼさせる。
しかし、宿主を殺してしまったら何にもならない、と関が疑問に思っていると猿渡は蘇生した。
そうか、この惑星の生命体は、宿主を一度殺してから蘇生させて、意識と身体を自由に操り周囲に感染して繁殖するのか。
関は納得したが手遅れだった。

 坂田通信技師は地球に連絡する。そのまま大気圏外に待機せよ、と命令される。
 
 メタモルフォーゼした猿渡は、自分の身体の一部を船内の食料に混入させて山本、坂田、関を感染させようとする。企みに気づいた山本船長は猿渡を隔離室へ閉じ込めようとするが、先に感染した坂田に妨害され自分もまた感染してしまう。関はうまく逃げ回っているが狭い探査船内のことだから感染してしまうのは時間の問題だった。関は地球政府に地球への帰還を懇願するが受け入れてもらえない。
地球政府は、地球人類を得体のしれない異星の生命体から守るために、小型探査船の破壊を決断する。
 関は命令を無視して大気圏内へ突入する。
 地球からの攻撃で小型探査船は爆発する。
 しかし、探査船は大気圏内に突入していたため異星生命体は大気中に拡散してしまう。
 やがて地上に舞い降りて全人類はメタモルフォーゼする。

文字数:1200

内容に関するアピール

旬のネタということで、いろいろ考えてみたのですが、やっぱり新型コロナウィルスにしました。
主人公はアルバイト助手の関です。
未知のウィルスを未知の異星生命体にして、宇宙船内に閉じ込められた4人の運命をホラーサスペンスふうに描きたいと思います。
それと、地球政府(未来に存在する政府)が大気圏を境にしての水際作戦をどうするかも描きたいと思います。

文字数:169

課題提出者一覧