置いていく泥棒

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梗 概

置いていく泥棒

東京、下北沢。雑然さが抜けきらないこの街の裏通りには、占いやジャンクショップにシーシャ屋など怪しげな店が軒を連ねている。その通りの袋小路に一軒の雑貨屋があった。
店内は祭祀道具や呪具、妖怪図画であふれ、マニア達の密かな聖地になっている。店主は結(むすぶ)という名の女性で、アルバイトの少女瑠璃(るり)と、二人で店を切り盛りしている。
この雑貨屋には、もう一つの顔があった。ここは奇妙な事件を専門とする探偵事務所なのだ。

今回、事務所をある女性が訪れた。名は浜田由紀。六年前、大学進学で上京し、立川で一人暮らしをしている。
結はワインを勧め瑠璃にたしなめられるが、由紀は酒に弱いと断り、本題を切り出した。由紀は「ここ数日間、泥棒が自分の部屋に侵入し、家の物を増やしているのではないか」と恐れていた。
ことの始まりは、一週間前、ベランダに転がっていた見覚えのないビニールテープだ。その二日前、隣室に住む元同級生の紗英、同じく元同級生の雄平、陽太の四人で由紀の部屋で遊ぶ約束をしていた。主催した紗英によれば、陽太は体調を崩したらしく、実際は彼以外の三人で実際に遊んだ。由紀ははじめ、彼女らの忘れ物かと思い連絡するが、紗英と雄平には否定され、陽太からは返事がなかった。
五日前には、郵便受けに手袋がねじこまれ、四日前には窓ガラスに石を投げられ、三日前はベランダに男物の衣服がかけられた。警察に相談しても一向に相手にしてもらえず、由紀はこの事務所にきたという。
結は家に男が潜んでいる可能性を示唆する。由紀に監視カメラを貸し、監視カメラで部屋の様子を記録し、できる限り友人と一緒にいてもらうことを指示し、家に帰ったら連絡をくれることと、三日後に会うことを約束する。
結の指示で、瑠璃は由紀の人間関係を洗う。瑠璃は、紗英や雄平から話を聞き、友人の陽太が姿を消していることと由紀には盗癖があったことを知り、結に伝える。瑠璃は由紀の言葉は盗癖を隠す嘘ではないかと思い悩む。

三日後、浜田由紀の代わりに事務所を訪れたのは警察だった。警察は結と瑠璃に対し、浜田由紀が急性アルコール中毒により死んだと伝える。現場には「ごめんなさい」と書かれたメモの切れ端がおち、警察は自殺と考えていた。由紀に渡した監視カメラには記録はおろか設置した形跡すら残されていなかった。結は由紀の事件は殺人だと告げ、警察と共に由紀のマンションに赴く。

由紀は隣室の紗英に会う。結は紗英に対し、監視カメラの設置を手伝いに来た紗英が由紀を殺したと推理を披露する。そして動機として、紗英は陽太を殺し、犯行に使った諸々の品を由紀の家に送り付け、由紀を犯人に仕立て上げようとしたのだ、と看破する。証拠を求める紗英に対し、結は由紀が結に送った最後のメッセージを見せる。そこに由紀が残していたメッセージは今から紗英と監視カメラを付ける、というものだった。紗英は罪を認め逮捕される。

文字数:1199

内容に関するアピール

部屋の物が盗まれるのでなく増えていく、という逆転の怪現象がミステリになると考え、梗概を作成しました。

本当は、被害者の由紀が盗癖により紗英から品物を盗み、それが実は陽太殺しの物証でもあったため、犯人側の罪なすりつけまでのネタを仕込みたかったのですが、盗まれた何かが思いつかず、罪なすりつけのみを謎解きの核にしています。

講師の方々にトリックのひねり出し方などお聞きしたいです。

 

 

文字数:186

課題提出者一覧