夜は奇妙な青い空

印刷

梗 概

夜は奇妙な青い空

夜空は青い。昼間の青空とは違う深い青色に染まっている。異様で不気味な夜空だ。そして、この青い夜空の中には、二匹の大きな竜のようなものがいて、絡みあいながら蠢いているような大きな渦が見える。この青い夜空の中には、なにか途轍もなく大きな生き物が潜んでいる気配がする。
青い夜空の向こうにはいくつもの星が輝いている。まばゆい光だ。その星の光もグルグルと渦巻くように回っているように見える。それから、大きな月も見える。満月ではない。今まで見たことがない欠けかたをしている。月食なのだろうか?とにかく違和感を覚える形をした月だ。満月よりもまぶしい光を青い夜空に滲ませている。
この不気味な青い夜空は人々の心を幻惑させ狂わせるのではないだろうか。眩しすぎる星と月の光を浴びて、夜の渦巻く青い闇を見続けていると、心の中を攪拌されるような眩暈がするような気分になる。
この夜空の下には山間の村がある。小さな村だ。いくつかの小さな家が建ち並んでいるのが見える。数少ない村人たちが肩寄せ合いながらひっそりと暮らしているような小さな村だ。小さな家々の中にあってひときわ目を引くのが、渦巻く青い夜空を突き刺すようにたつ細い鋭い尖塔だ。おそらく教会だろう。その教会と思われる建物の灯りは消えている。その教会の周囲に建ち並ぶ村人が住んでいるであろう小さな家々の灯りはついている。まだ起きているようだ。あの灯りの屋根の下で村人たちは何を思い何をしているのか。
この青く渦巻く星と月が眩しすぎるほど輝く夜は、今いったい何時なんだろう?真夜中なのか?しかし、山のほうをよく見ると稜線の空の色が変わって明るくなっているようにも見える。朝も近い夜明け前なのかもしれない。村人たちは皆早起きなのだろうか?それとも、渦巻く青い夜空の向こうからやってくる何物かに立ち向かおうとして、一晩中起きているのかもしれない。
一番手前に見える燃え上がる黒い大きな炎のように見えるものは何だろう?大樹だろうか?
この青い渦巻く夜空からは音が聞こえてくるような気がする。青い夜の闇が渦巻き擦れあうような低い軋む音。そこに潜む生きものの唸り声も聞こえてきそうだ。
 
夜が明ければきっと何もかもはっきりわかるだろう。今言えることは、ここはたぶん地球ではないということだ。いや、もしかしたら未来の地球なのか?何百年、何千年、何万年後の地球の夜空はこんな異様な顔を見せるようになっているのか?それから、さっきまで星だと思っていた光は本当に星なのか?光は動いているように見える。この光は星ではなく宇宙の何処かからやってきた飛行物体かもしれない。いや、それも違うのか。ここは誰かが心の中で想い描いている夜なのか?誰かの心象風景の中に迷い込んでしまったのかもしれない。
ここは何処だ?俺はいったい今何処にいるんだ?
ここに辿り着いた男は、小高い丘の上から村を見下ろしながら途方に暮れていた。

文字数:1200

内容に関するアピール

題名 :星月夜
制作年:1889年
作者名:フィンセント・ファン・ゴッホ
絵画についてはほとんど知識がないので、有名な作者の作品をいくつか観て、SFのラストシーンになりそうな作品を選びました。
主人公の男はラストシーンでこの小さな山間の村に辿り着きます。
彼はどのような経緯でこの村に辿り着いたのか?ここは何処なのか?
彼はある事件に巻き込まれます。そしてその犯人の意識の中に捕らわれてしまいます。
この青い夜空の村は犯人の心の中の精神世界です。実作ではこんなストーリーを考えています。

文字数:236

課題提出者一覧