らっきーどらごん

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梗 概

らっきーどらごん

島にはさほど大きくない山と巨大な冷却塔が幾つも並ぶ発電所があった。冷却塔から煙が上ることが島の見慣れた景色だったが、この日の朝は突然、山からも煙が出始めた。

噴火警戒Lv1
龍は本土から船に乗って島の港に着いた。港には猫の群れがいた。餌をあげに来た島の年寄りに猫は集まるが、一匹の白い猫だけがその輪に入らない。龍はチョコを与える。その猫はチョコを美味しそうに食べたが、「もしかしたらあれは猫ではなかったかもしれない」という出来事を龍は他に十人程が座る小部屋で話す。聞き終わると全員が熱心に拍手をする。部屋の大きな窓からは山の煙と発電所の煙が見えた。また海の向こうには本土の発電所の冷却塔までも見えた。発電所関係者らは休火山が突然活火山になることはありえないと言いつつ噴火時の対策を練っている。

噴火警戒Lv2
島の人たちは動物を嫌がり、猫に餌を与える年寄りを激しく叱る。島には大きな介護施設がいくつもあった。龍の話を聞いていた重度の三人、男の辰と女の未央と鳥子は、その「猫ではないかもしれない動物」という部分が気に入り、どういう動物なのか熱心に話し合い一緒に同じチョコを買う。

噴火警戒Lv3
島の火山活動が盛んになる。避難について噂が広まる中、取材をするメディアが大勢島に駆けつける。未央は働く風俗店の前で犬のような白い動物にチョコを与える。辰は体が悪く牛小屋の雑用仕事をしているが、牛小屋に山羊のような白い動物を見かけチョコを与える。鳥子は介護施設で働き、施設の砂場で白い馬のような動物にチョコを与える。龍は本土の発電所職員だが、職場で問題を起こして島で依存症治療を受けている。その夜は火山の麓で白い熊のような動物を見かける。それは「こっちへおいでよ」と手を振って山を登っていった。

噴火警戒Lv4
正式に全島民避難勧告が出され、軍隊の巡視船、護衛船が港に相次いで乗り入れ、港は人で混乱している。警察は全島民に避難指示を出して見回っている。四人は職場や周りから声を掛けられることもなかったが、次の集会を楽しみにしていた。メディアも自動カメラだけを置き退去した。街には何も動く姿はなった。冷却塔の煙も止まった。

噴火警戒Lv5
四人が集まる施設は閉まっている。山の噴火が始まる。四人は山のケーブルカーの施設に入る。マグマ型噴火の場合は火口の方が安全だという龍の説明でケーブルカーを動かして山頂へ向かう。その光景が複数のドローンやカメラに撮影される。撮影される角度で、それは流れるマグマの中を登る船のように映った。マグマの勢いは増し、発電所の周りを囲った鉄の塊も溶かし、火山が吹き上げた雲は島から見えた本土までを覆おうとしていた。四人は山頂で盛んにマグマを吹き出す火口で、持ってきた弁当を食べながら、チョコをあげた動物の話を楽しそうに始めた。火口には、四人がチョコをあげた巨大な動物が楽しそうに語り合う彼らの話に頷いた。

文字数:1200

内容に関するアピール

できるだけ誰でも知っている絵を選ぼうと思い、美術の教科書で見たベン・シャーンの「寓意」を選んだ。ベン・シャーンの絵は何度か展示会で見ているのだが、実物のこの「寓意」は見たことがない。ベン・シャーンの絵の多くは直接的なメッセージと物語があり、特にこの「寓意」は批判にさらされたことからも、いろいろな場で本人が解説をしている文章は断片的に読んだことがあった。ただ今回ベン・シャーンの「ある絵の伝記」を探して読んだところ、この「寓意」の解釈から彼が地面に立つことの理由のようなものが能弁な文体で書かれていて、わたしのとても大切な本になった。その大切な本になった理由を羅列して、最後にベン・シャーンの説明から全く離れたわたしの「寓意」の説明をした。
 わたしがどのベン・シャーンの絵からも感じるイメージは「乱暴的な可愛さ」だ。そんな感触の物語にしたい。

参考本:
ある絵の伝記  ベン・シャーン (著), 佐藤 明 (翻訳)
ベン・シャーンを追いかけて 永田 浩三 
ここが家だ:ベン・シャーンの第五福竜丸 ベン・シャーン , アーサー・ビナード 
絵のある世界 (新・ちくま文学の森)
火山学 (現代地球科学入門シリーズ)
地球を突き動かす超巨大火山 新しい「地球学」入門

 

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文字数:527

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