君のしっぽが僕を知ってる

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梗 概

君のしっぽが僕を知ってる

湖の中洲にある宇宙開発要員育成学校で高等部生が行方不明になった。破損したハンググライダーが発見され「小さな子供に危険な活動を許している」と非難された。緊急全校集会が開かれ、校長が「ユウト君の……戻ることを願う」と締めくくった。

その時、放送部員の浦上カノンは校内連絡係の機械鼠メカニックマウスミミちゃんと共にPAブースにいた。ミミが撮った記録画像の口の動きからマイクが拾えなかった校長の声を修復すると「遺体が戻る」と言っていた。

生徒の失踪が続き、校内では幽霊騒ぎが起こるようになった。

更に校内の様子が外に漏れるようになり、生徒たちは多額の援助で贅沢に育てられた人為的変異体ミュータントだと噂された。廃校運動まで起きた。以前から生徒たちは市街地に行くと特別扱いされていたが、みな普通人だ。学校に悪意を持つ者が歪んだ情報を流しているとカノンは思った。

 

カノンは校内を探ろうとした。目的を隠して校内紹介のドキュメンタリを作りたいと顧問教員に願うと止められた。自治会役員の渡辺リュカに相談すると、たちまち顧問と校長を説得し、条件付きで取材許可を貰えた。条件とはリュカが取材に立ち会いミミと一緒に行動すること。ミミちゃんはかわいいが苦手な優等生をお目付け役にされたのは窮屈だった。

自治会アンケートから幽霊が出たという噂がある場所を探ることにし、体育部室を撮影していると部員たちから脅された。体育会系の生徒は花形の宇宙飛行士候補だが、他校生とは身体条件が違うから対外試合はできず、不満から荒れている者も多い。リュカは上手に話をつけようとしたが、機材を取り上げられそうになったカノンは咄嗟に窓から飛び出した。リュカとウニも続き、二人と一匹は雨樋を伝わって逃げた。

リュカはカノンの軽率さを叱る。しかしミミが一連の出来事を先生に報告するのを、リュカは止めた。そしてカノンと二人きりになると「面白かったね」と言った。リュカも騒ぎの真相を知りたかったのだ。

取材しても何の実態も無い中、リュカが「ここだけ化物の噂が無い」と指摘する。それは校長室だった。

カノンは一人で校長室を訪ねた。校長は真相を話す。

生徒たちは二次成長を止められて子供の体格と反射神経を維持されている。人工知能と地球外で働くためには小柄であるほど有利なのだ。しかし学校からはみ出して成長を望むようになった生徒は学校を出て行く。

校長は退学者たちを義体とすり替える計画だと言った。「それが幽霊に見えたようだ」

その会話をリュカが全校放送していた。

学校は解散されることになった。

カノンはリュカに、ちゃんとドキュメンタリを仕上げることを誓った。「手伝ってくれる」「いいよ」

 

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