せっかく、四季があり、季節が繊細な日本に住んでいるんだもの、風景描写とならんで、天気も読者に共感してもらえるように描写できれば、それはあなたの武器になると思います。雨なんて、みんなが知っているものだから、うまく描ければ臨場感でるし、下手な描き方をすればすぐに馬脚が現れちゃうし。ですので、作品の中で、一回以上雨を描いてください。夏の夕立でも、梅雨に濡れるあじさいでも、台風大被害でも、雨であれば何でもいいです。
ただ、これだけだと課題として判りにくいので、セールスポイントも梗概の最後に書いてね。例えば、「私は情景描写に自信があるんで、とても綺麗な雨を描くつもりです」とか、「記録的な台風を書きます。スペクタル映画ばりの豪雨描いてみせます」とか、「普通の雨だけど、それに連動した登場人物の心理描写をやるつもりです、この雨がなければ描けないような心理描写を」とか。あるいは、「あんまり描写に自信がないので、そのかわり、この雨は、この作品における構成上とても重要な鍵になっています」なんて奴でもいいです。とにかく、雨のシーンが作品中で最も魅力的、ないしは、最も重要に見えるような奴をお待ちしております。(あと、季節が繊細な日本って書いたけど、別に舞台は日本である必要はありません。熱帯雨林でもいいし、地球でなくてもいいです。雨さえ、降っていれば。)
(新井素子)