梗 概
和洋折衷~BBQ+懐石=モリバーガー~
22世紀、西田由紀夫はアメリカのBBQ動画を見て食べたいと思い、SNS上で繋がりのあったアメリカ人のジョンにBBQを食べたいという話をする。ジョンは家に来ればご馳走すると言ってくれ、友達も連れきていいかと話すと大歓迎だと言われる。
ただ妹のメアリーは日本のヤクザ映画に大きな影響を受けているから、注意するように言われる。
由紀夫はアメリカに行く為に中古のどこでもドアを買い、ジョンから教えてもらった住所に友達の塔山光を連れて行き、チャイムを鳴らすと
メアリーが玄関を少しあけ、英語で何か喋っている。二人とも自動翻訳機を忘れており、身振り手振りで話すも通じず
「Japanese?」
と聞かれたのでYESと答えるとボソボソと何かを言い、ドアを閉められ、二階の窓が開き、メアリーが銃を打ってきた。銃弾が由紀夫の顔をかすめ、由紀夫と光は悲鳴を上げて、どこでもドアで日本に戻ろうとすると後ろから
「ファッキンジャップぐらい分かれよバカヤロー!」
と日本語で叱られる。なんで撃たれたの?という話になり、音声アシスタントに意味を尋ねるも「BROTHER」を見ろと言われ、コピー機を見た。再度尋ねると映画のことだと説明された。
スーパーでステーキ用の肉を買い、屋内無煙炭火機で焼いて食べると、外側はパリッと焼け、肉を噛むと溢れるほどの肉汁が出て非常に美味しかった。二人で映画を見たが銃撃される理由が全くわからなかったので、ジョンに話を聞くと、妹なりのアメリカンジョークだと言われ、この映画を知らないのは日本人の恥だと逆に説教される。
1カ月が経ち心の傷も癒えた頃、塔山が京都に行きたい料亭があると言うので、京都に行くことにした。しかし、どこでもドアを使うと知らない所に飛んでしまう。故障かと思い、ナレッジに尋ねると京都には結界が張っているので入ることができないと説明される。仕方なく新幹線を使って、料亭に行った。料亭に行くまでの道のり、秋の深まりを感じる紅葉や歴史を感じる建造物が見え、京都の歴史を肌で感じた。料亭に着くと500年の歴史を感じる建物がそこにはあった。
出てくる懐石料理に派手さはないが、一つ一つの料理や器に豊かさや個性を感じた。
女将が来て味の感想を聞かれたので美味しかったと答え、どこから来たのか質問されたので、東京から新幹線できたと話をすると、ここまで来たことを労われ、しばらく談笑した。
新幹線で東京に戻り、夜になったのでお腹が空き、家の近所のモリバーガーを食べに行った。
厚めのトマトとパテが挟まったバンズに、これでもか!というほど掛けられたミートソースを零れないようにする袋を持ちながら、ハンバーガーにかぶりつくと、肉汁の美味しさと新鮮なトマトの酸味が口の中に広がり、いくら食べても飽きない。
「しかし、京都の料亭に行った後にモリというのは・・・。」
塔山が苦笑いしたので
「それじゃあ、ただのお国自慢で終わってしまうよ。モリバーガーは和と洋の融合なんだ」
と言って、モリバーガーを掲げると袋からミートソースが落ちてきて顔にベットリ付いた。
文字数:1285
内容に関するアピール
屋内BBQで肉の美味しさを知り、料亭に行き、懐石を食べることによって、日本料理の精神を理解し、最後は海外から輸入された文化と日本の食文化を融合させ、モリバーガーという形に落とし込み、新たなる味を作る
BBQ+懐石=モリバーガー
他国の食文化を理解しようとする姿勢によって新たなる価値を生み出すこんなに素晴らしいことはありません。
ここまで文字数 162文字
【参考文献】
花咲アキラ (著), 雁屋哲 (著) 『美味しんぼ 47巻』小学館 ,1994
速水健朗『ラーメンと愛国』講談社現代新書,2011
文字数:287