嘘や騙りというとミステリの専売特許と見られがちですが、今やChat GPTがしれっと嘘をつく(誤った回答を生成する)時代です。テクノロジーの進歩が虚実の境目をなし崩しにしていく世界では、ホラ吹きやぺてん師がフィクションの中で果たす役割もアップデートされて然るべきでしょう。
昨年の宮内悠介氏の講義では「最小限の嘘で最大限の効果を」という課題が出ましたが、今回は常習的・反復的に嘘をつくキャラクター(大まかな意味で)を軸にストーリーを展開させてください。設定としての「嘘」そのものより、嘘やデマを発する人/物たち(あるいはそれに騙される者ら)が演じるドラマに力点を置くということです。
嘘つきの範囲や定義は自由。荒唐無稽なホラ話(トール・テール)を提出する場合には、語り手のキャラ立ちに腐心してください(例:『レ・コスミコミケ』のQfwfq)。SFならではの騙し合いやどんでん返しはもちろん、本格ミステリ流のフェアプレイを笑い飛ばすような、大胆不敵&すっとぼけた語り口も大歓迎です。
(法月綸太郎)