(有)木乃伊商会

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梗 概

(有)木乃伊商会

役者をやるために上京するも全く目が出なかったは、彼女と貯金に愛想を尽かされたので実家への出戻りを決めた。
 終ぞ自分を受け入れてくれなかった大都会へ、心の中で中指を立てる。
「まあ、うち尋常じゃない金持ちなんで! 人生マジチョロっすわ!」
 
 久しぶりに会った父は、「本当に継ぐんだな?」と何度も念押しし、を屋敷の裏の土蔵へ連れていった。
 蔵の中には地下へと続く通路があった。降りた先の暗闇では何かに躓く。ライトで照らすと、全長1メートル程の干乾びたミイラだった。が悲鳴を上げると、ミイラは抗議の言葉を投げかけてきた。更に驚くだったが、辺りを照らすと、同じようなミイラが無数に蠢いていた。父が一喝する。
「落ち着け! それはお前のご先祖様だ!」

伝承によると、先祖の神殺しにより、一族は皆死ねないミイラになる呪いをかけられたそうな。父は妻(の母)と離縁していたが、それは一緒にミイラとして生きる未来を拒まれたからだという。

蔵の地下は、ミイラ達の居住空間になっていた。一族は地元で複数の企業を経営しているが、ミイラもその労働力を担っていた。ミイラが求めるのは、ミイラハンターからの保護と適当な嗜好品、あとは先達へのリスペクトのみ。実質人件費ゼロ。これが一族繁栄の秘密だった。
「大いなる財産には、大いなる責任が伴う、だ。ま、頑張れよ」と父は言った。

昼はグループ企業で平社員として下積みを行い、夜はミイラ達のお世話をする、二重生活が始まった。

最初はミイラ達から一族の歴史を教わり、素直にリスペクトしていただったが、長くは続かなかった。ミイラ化には、往時の悪癖が強調される特性があった。生涯こいつらの面倒を見るのはありえない。はミイラ抹殺を決心する。
 しかし、ミイラ達は何をやっても死ななかった。焼いても削いでも潰しても再生する。
 更に最近、明らかに父の身体が縮んでいた。ミイラ化が進んでいるのだ。

そんな中、中学の同窓会が開催され、そこで再開した実家が薬局を経営している幼馴染の女性と交際を始める。
 俺は薬局の彼女にミイラのことを話す。彼女は、適切な処置を行えば父のミイラ化も止めることができるかもしれない、と言う。は彼女を蔵の地下へ連れていくが、後頭部を強打され気絶する。

彼女(とその実家)は、ミイラを材料とした秘薬の生成を生業するミイラハンターだった。
 俺は目を覚ますと、父を含む数人のミイラが連れていかれてことをミイラ達から聞き、救出のためミイラ達と薬局へ向かう。
 彼女と対峙し、自分との未来を取るか、ミイラを取るか、と迫られるが、はミイラを選択する。
 ミイラ軍団により薬局は瓦礫と化した。落ち込んでいるにミイラが声をかける。
「よくわからんけど、とにかくお前はわしらの子孫だから! 自信持てよ!」
 俺は瓦礫の山の上で涼んでいる彼女にダメ元で声をかけた。
「俺と一緒にミイラになってください」

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内容に関するアピール

倒す前にドミノの並べ方を勉強したいです……。

文字数:22

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