梗 概
とある塔の観察日記
「勇者が村人より少ないとき、魔王を倒せ。毎日1人の人間が転生してくるが、勇者が生まれる確率は20%とする」
斉藤安敏がこの世界に転生してきたとき、まず発見したのは泉と看板であった。周囲を見渡すと、どうやら巨大な塔にいるということがわかる。はるか上層に魔王と直感できる禍々しい気を感じる。塔の下は霧に覆われており、どの程度の高さなのか、まるで想像がつかない。斉藤は、自分が勇者であること、勇者は特殊な「スキル」を一つだけ持って転生してくることを直感的に知る。魔王の手下が現れると、彼は意気揚々とスキルを使って攻撃するが、まったく歯が立たたず殺されてしまった。
加藤舞がこの世界に転生してきたとき、塔には1000人の勇者と500人の村人がいた。勇者は村人を守りながら攻略を進めているが、村人も多くが亡くなった。加藤は勇者のひとりとして活躍し、魔王を倒す一歩手前までたどり着くが、勇者が多すぎるこの世界では勝利条件を満たせない。やがて勇者を減らすことでクリアしようという策謀が起き、加藤は殺される。勇者が激減する混乱のさなか、魔王の逆侵攻に耐えきれず村は壊滅した。
栗林由香がこの世界に転生してきたとき、そこには4000人の勇者が100億人の村人を支配する、塔の帝国があった。勇者は遺伝しないため、一代限りの特権階級である。村人は転生しだい農奴兼兵士として、勇者はスキルにはよるが貴族として扱われた。魔王は既に捕縛され、動物園に送られ、誤って殺さないように丁重に飼われている。塔は無限に上層へと広がり、悪魔の手下が湧き出てくる。栗林は、村人で構成された戦車部隊を指揮し活躍する。ある日、村人が反乱を起こし、その混乱のさなか魔王が死ぬ。そのとたん、条件未達成で「ゲームオーバー」が発生する。
原田修平がこの世界に転生してきたとき、泉は魔王の手下に占拠されており、即座に殺された。
竹田梨紗がこの世界に転生してきたとき、泉は魔王の手下に占拠されており、即座に殺された。
星野裕太がこの世界に転生してきたとき、泉は魔王の手下に占拠されており、即座に殺された。
中西昌弘がこの世界に転生してきたとき、泉は魔王の手下に占拠されており、即座に殺された。
西山奈央がこの世界に転生してきたとき、泉は魔王の手下に占拠されており、即座に殺された。
…
武田京子がこの世界に転生してきたとき、魔王の手下が襲ってきたが、かろうじて逃れることができた。逃げた先で、一台の朽ち果てた戦車を見つける。京子は自分のスキルで戦車を復旧させ、泉の奪還に成功する。京子はその後生まれた勇者とパーティーを組み、タンクデサントをしながら塔を攻略していく。勇者率いる戦車隊は、勇者15人・村人60人の状態で魔王討伐に成功する。塔は柔らかな光に包まれる。
井上康太郎がこの世界に転生してきたとき、見つけたのは泉と看板であった。あたりには塔の世界が広がっていた。
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内容に関するアピール
(私も好きなのですが)転生もののアニメ・小説作品がかなり流行している昨今、この世界観に何らかの厳密な条件(=嘘)を設定することで世界を構築したらどのような展開が考えられるか…といった意識で考えてみました。
アサガオやアリの巣の観察日記風にしつつ、最後の攻略フェーズでは爽快感が得られるような形にしたいと思います。
よろしくお願いします!
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