梗 概
ネオン・ナイト・ダモイ
事故で脳を損傷したダモイが退院してくる。僕は以前とまったく変わった様子のない友人を喜ぶ。しかしその後ダモイはふさぎがちになる。ダモイの母に頼まれてなんとか話を聞き出す。ダモイは自分は自分ではなくなったという。しかし僕には何が変わったのかわからない。ダモイいわく、自分は今のように話したり自由に体を動かしたりはできないはずの損傷を脳に受けているので、今このように話しているのは自分ではないという。僕にはダモイの言っていることがよくわからないのでとにかく励ました。
それがよかったのか悪かったのか、ダモイは外へ出ていくようになった。僕はサッカー部の活動で忙しくなり、ダモイとは少しずつ距離ができた。
一カ月ぶりにダモイの姿を見かけて驚いた。ダモイは身体中にネオンサインのような入れ墨をいれていた。ダモイいわく本当の自分を探しているらしい。ふたりで温泉へ行くと湯の中でダモイがチカチカ光っておもしろかった。
それからダモイはさまざまな変化を遂げた。瞬きのたびに色の変わる目や頭髪、ボイスチェンジ、四肢の機械化。それでも僕は会うたびにダモイのことをダモイだと認識することができた。ダモイの母に泣きながらビンタされたが、僕はなんとなくダモイの母よりもダモイに共感していた。ダモイは必死だった。僕はよくわからないがダモイを応援していた。
金を稼ぐためにダモイは危ないアルバイトをしていた。サッカー部を辞めた夏休み、僕は思い切ってダモイに働き口を尋ねた。
「インストール」とダモイが呼ぶその違法行為は、僕にはただのカウンセリングとしか思えなかった。どんな人間になりたいのかを語る顧客の顔は熱に浮かされているようだった。診断を終えたダモイは作成したメモのデータを僕へ送信する。メモには数十人の名前と観察ポイントが記されている。探偵のような仕事で僕は少しわくわくした。
何人かの調査結果をダモイに送ると入金があった。いいバイトだと思った。
新学期が始まるとダモイは翼を生やしていた。僕が調べた数人は、変わらず登校していて安心した。けれど、彼らが本当に以前までの彼らと同じなのか保証はなかった。ダモイは体のリストを並べて僕にどれがいいか楽しそうに尋ねる。増改築は終わり、次の体へうつるらしい。なんとなく憂鬱になり、飛べるの、と僕は尋ねた。ダモイは笑って教室の窓から飛び降りた。全治1カ月だった。脳の損傷のときより長い入院だ。ダモイは2日後、別の体で学校へ来た。
僕はダモイがダモイだとわかる自分が不思議だった。ダモイの脳はあの事故の日から作り物で、それを新しい体に移植した。そのダモイはいったい何なのだろう?
僕は新学期も探偵みたいなアルバイトを続けていた。ある日、尾行している途中でターゲットの父だという男に捕まった。僕は人殺しと罵られ警察へ連れていかれそうになったが、ダモイが現れて僕を逃がしてくれた。
僕とダモイはお尋ね者になった。僕は何が起こっているのかよくわからなかった。怖くなり、ダモイがあたりの様子を見に行っている間に家へ帰った。しかし母は私を見て悲鳴をあげ、フライパンを振り回して僕を追い払おうとした。僕は自分の部屋へ駆け上がった。そこには知らない人間がいた。僕はダモイのもとへ急いで帰った。ダモイはいなくなっていた。僕は自分が誰なのかわからなくなった。ダモイを探さなければ。夜の闇を僕のネオンが明るく照らす。
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内容に関するアピール
私は良い受講生ではありませんでした。もっと良い受講生であろうと思ったのですが、余裕がありませんでした。今はなんとか生きています。もっとみなさんと交流したかったです。気軽にご連絡ください。
梗概を提出できなかった第7回課題「自分の人生をSFにしてください」で書いてみたいと思いました。よろしくお願いします。
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