フルールを咲かせて

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梗 概

フルールを咲かせて

「花開け、わたしだけの物語! フルール・ネージュ!!」
主人公に逃げられた物語が収められる図書館“ブーケ・ド・ビブリオ”に突如大量の本が送り届けられる。誰もが知る名作ばかりで、図書館の司書を勤める栞の妖精“シニエ”は困惑していた。シニエは逃げ出した主人公を探すべく、伝説の戦士フルールの協力を求めて、人間界にやってくる。
主人公の雪待雫(ゆきまちしずく)は、絵を描く事が好きだった中学二年生。自分の絵に自信がなくなり、冬の日に自分の描いたイラストを全て川に捨てたばかり。新学期が始まった今になってもそのことを引きずっており、クラスに馴染めていない。
雫のクラスに転校生の鈴美蘭(すずみらん)が加わる。蘭は天真爛漫な性格からすぐクラスに打ち解けたため、雫は彼女に憧れている。ある日、雫がこそこそと絵を描いている事を蘭が発見し、それをきっかけに二人は仲良くなる。
下校時、突如悪天となり、雫は巨大な魚人の怪物と遭遇する。魚人はシニエを襲っており、シニエは川で溺れかかっていた。そのシニエが蘭の愛用する栞に似ていたため、雫はシニエを救出する。魚人がシニエやシニエの持つ本を踏み潰そうとした時、雫は「物語は誰かの愛した世界だから」とそれらをかばい、伝説の戦士フルール・ネージュに変身する。怪物は、物語から追い出された『人魚姫』の主人公だった。
フルールとして物語の主人公を救出する生活が続く中、雫は蘭に勧められてクラスメイトからイラスト作成の依頼を受けるようになる。クラスメイトに喜ばれる事で、雫は絵を描くことへの自信を取り戻していく。
物語から主人公を追い出し、怪物として操る組織“ルヴノン”を名乗る女性が現れる。彼女たちは様々な物語を収集・接合し、巨大な植物コンピュータ“ラシーヌ”を完成させる事が目的だと語る。
鈴美蘭がルヴノンの一員である事が判明する。彼女は雫が捨てたイラストに宿っていた主人公で、物語を欲していた。植物コンピュータ“ラシーヌ”の力で自分の物語を生成してもらおうと考え、ルヴノンに所属していた。そんな蘭に、「わたしが物語を与えるから」と雫は約束する。雫の約束を信じ、怪物化した『幸福な王子』のツバメを救うために、蘭はフルール・ミュゲに変身する。
ラシーヌの正体が、幼い頃に物語を書いていた雫の思念である事が判明する。雫の物語を完成させたいという思いがシロツメクサの根に宿り、根が様々な本に接続する事で巨大なコンピュータを形成し、創作 AI として稼働していた。
雫は自分の本当に創りたいものが物語である事を自覚し、ラシーヌと対峙する。ラシーヌが雫の脳を求めて根を伸ばしピンチとなるが、蘭に助けられ、ラシーヌに勝利する。
雫は絵本作家として、蘭が主人公の物語の完成を目指す。ブーケ・ド・ビブリオに平和が訪れ、蘭は自身の物語へと帰って行く。

文字数:1164

内容に関するアピール

 悪堕ち・サメ映画・BL・タコの色覚と、この一年を通してやりたかったテーマを隙あらばねじ込んできました。最後にどうしても書きたいのは、変身少女ものだと思い最終課題の骨子としました。

 特に憧れの強い日曜朝の変身少女ものは、真っ直ぐな主人公の夢が魅力の一つです。そのため、この一年を通して考えてきたことを素直に主軸としました。また、第一回・第七回のお題を意識しました。

 子供に伝える SF かつ、最新鋭の科学で今まさに指が届こうとしている領域を描きたいと考えています。そこで植物の生態を応用した分散型思考のコンピュータによる創作 AI を敵組織のオヤダマとしました。

 ファンタジーと SF の入り混じる内容となるため、切り替え方や SF 要素の見せ方を工夫できないか思案しています。また、タイトルは(仮)です。

文字数:345

課題提出者一覧