霊能者・毛塚クオンの葬送

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梗 概

霊能者・毛塚クオンの葬送

お前には霊能力がある。髪を介して他人の意識を取り込めるんだ――父・初継ウイツグがそう言って誰かの遺髪を口に捻じ込んでくるので、毛塚クオンは霊能の鍛錬が苦手だった。フレッシュな髪が好みだったし、父が死んだ母と再会する為に自分を育てていると思い知らされるからだ。クオンは意地でも、母の意識は取り込むまいと心に決めている。

毛塚家での生活に嫌気がさした彼は、家から逃げ出して占い師になった。髪を食むという奇怪な手法と驚異の的中率がSNSで話題を呼び、クオンは〈カミハミ様〉の名で有名になった。『霊媒! サイトスプーク』という人探し番組でレギュラーを獲得した彼は、「もう二度と父に頼ることはないだろう」と喜ぶ。

そんなある日。クオンの元に虹色に輝く髪の束が届く。興味本位でそれを食んでみると、彼は意識を乗っ取られ、気が付くとTV局員を殴り倒していた。憑依されたと警察に説明したが、聞き入れられる筈もなく投獄されてしまう。父・初継による企みだった。

世間では「カミハミ様は本物ゆえ葬られたのだ」という陰謀論が広まり、かえって人気が高まっていく。クオンの長髪を模したエクステ、〈エクスピ〉も売れに売れた。

収監から数か月後。葛城フジカという刑事が訪ねてくる。彼女は「エクスピ所有者が相次いで事件を起こしており、その全員が憑依されたと主張している。このまま事態が拡大すれば、国家の危機だ」「専門家として力を貸してほしい」と持ち掛ける。しかし、地位も収入源も失い自棄になっていたクオンは、「檻の外などどうでも良い」と拒絶する。しかし、エクスピに混じった虹色の髪を見て協力することを決めた。自分を陥れた人間に辿り着けると踏んだ為だ。

クオンは急襲部隊に同行して、エクスピの製造工場に入る。

工場深部には、巨大な虹色の毛玉と初継の姿があった。困惑するクオンに、初継が語り掛ける。「お前のお陰でみなが髪の力を信じ、怖れるようになった。だから人々は虹天球こうてんきゅうによる憑依を、集合意識を受け入れてくれる」「全人類との意識統合がなれば、虹天球は本来の力を取り戻す。ヒトは死者の意識とも触れ合えるようになる。また三人で暮らせるんだ」。そう言って、初継は頭上の毛玉を指す。曰く、この虹天球なる物体に接続している状態が人類の原型であり、あるべき姿だという。

部隊員たちが虹天球に阻まれる中、クオンは単身で初継に挑む。父の頭髪に齧りつき、その意識を読み取った彼は「三人で暮らす」という父の言葉が、心根から出た言葉だと理解する。そして同時に、自分を監獄に追いやったのが他ならぬ父であることも知った。

クオンは葛藤の末、父との和解を選ぶ。手段自体は大いに問題があったが、それでも父の言葉に嘘はないと知った為だ。クオンは母の意識を降霊して、初継の望みを叶える。そして父母たちが最後の別れを終えたあと、二人で葛城たちの元に出頭する。

文字数:1195

内容に関するアピール

最終課題は、第6回課題で提出した『霊能者・毛塚クオンの葬送』のリライトで臨みたいと思います。

①より親子の関係性に焦点を当てること。

②独自設定(例:虹天球、霊媒)を展開に絡めること。

以上2点を意識して変更を加えました。

エモいような、バカ話のような、絶妙なバランスを目指していきたいです。

文字数:142

課題提出者一覧