梗 概
マモル君の捕まえた奇妙な虫
二十年前に行方不明になっていた少年が発見される。
その少年は二十年前と同じ十歳のままだった。
小学生のとき友達だったマモル君は虫が大好きでした。
五年生の夏休みのとき一緒に昆虫採集に行って、蝉や蝶やバッタや僕には名前の判らない虫をたくさん捕りました。その時マモル君は奇妙な虫を捕まえたんです。マモル君は凄く驚いて「本当に実在するなんて……嘘だろう……」とつぶやいていました。
その虫は、掌に乗るぐらいの大きさで、羽は蝶や蛾のような形をしていて赤や黄色や青やいろいろな色が混ざり合っていて、胴体はカブトムシみたいに黒くて太くて硬そうでした。そして、その虫は鳴いたんです。マモル君が手に持って虫かごに入れたときに、人間の赤ん坊のような笑い声で鳴いたんです。
そんなことがあった夏休みが終わった九月一日。マモル君は学校を休みました。その次の日も、その次の日も……。
いつまで経ってもマモル君は学校に来ません。担任の先生に訊いてみると、体の具合が悪いらしいと教えてくれました。
僕は心配になりました。学校の帰りにマモル君のお見舞いに行きたい、と担任の先生に云うと、先生はマモル君の家の地図を書いてくれました。それから、これを届けて欲しいと、プリントを渡されました。家庭訪問のお知らせです。
学校から三十分くらい歩いて僕はマモル君の家に着きました。街外れの山のふもとです。家の周りは畑に囲まれていてマモル君の小さな家だけがぽつんと建っていました。
空は真っ赤な夕焼けです。
早くマモル君にこのプリントを渡して帰らないと暗くなってしまいます。僕はマモル君の家の玄関に向かいました。
すごく静かでした。
夕焼け空を飛ぶカラスの声しか聞こません。
玄関ドアの前で僕はマモル君を呼びました。
でも、誰も出てきません。
鍵は掛かっていませんでした。
僕はドアを開けました。
灯りもなく夕闇が家の中に忍び込んでいます。
闇に向かって声をかけても、マモル君はいませんでした。
マモル君のお父さんもお母さんもいませんでした。
仕方ないからもう帰ろうと思ったその時、
家の中の闇の奥からガサゴソという音が聞こえてきました。
それと、赤ん坊の笑い声が……。
僕は闇の奥に何物かの気配を感じました。
そして、突然その気配が玄関に立つ僕に向かって迫ってきたんです。
闇の中から、巨大化したあの奇妙な虫が現れました。
僕は怖くなってプリントをその場に置いて走って帰りました。
翌日、僕は先生に家庭訪問には行かないほうがいいですよ、と云いました。でも、先生は行ってしまいました。そして、先生は帰ってきませんでした。
マモル君の友達の杉原は警察に昔のことを話す。そしてマモル君と二十年ぶりに再会する。
「あの虫は僕が描いた絵だよ。お父さんとお母さんと先生は虫に捕まっちゃった」とマモル君は泣きながら言う。
マモル君は昆虫たちが進化している別次元の世界に連れていかれて、そこから脱出してきた。
杉原は、その奇妙な虫を二十年ぶりに発見して捕まえた。そして、別次元の昆虫たちが進化している世界にいって、マモル君の両親と先生を救出する。
文字数:1294
内容に関するアピール
生きものとして、奇妙な不気味な虫を作りました。
少年が想像して描いた虫の絵が実現化して、少年とその両親を昆虫たちが進化した別次元の世界へ連れ去っていきます。
どういう理由で絵の虫が実現化して、どうやって別次元の昆虫だらけの世界に行ってしまうのかを、実作では書きたいと思います。
SFホラーアクション風味に仕上げたいと思います。
文字数:160