ギガンテック ブルー ピル

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梗 概

ギガンテック ブルー ピル

祖国を失った科学者バシルは移民する。受入国の軍は彼を新型兵器の研究チームに配属した。そこは発見されて二年の超光速粒子タキオンの研究をしていた。速度は最低光速の一京倍。タキオンが見つからなかったのは速すぎる上に性質が不安定なためだ。速度以外一定せず、本当に全てが同一かは不明。タキオンは素粒子でなく元素や物質のような細分化可能だと見られていた。バシルは数理モデルからタキオンに情報が入っているのを見つける。

タキオン情報から恒星の距離や質量が見つかる。さらに調べると対角上にある恒星情報をあった。量子効果以上の働きか、タキオンは存在過程の情報が入っているとわかる。これでタキオンは軍事機密となる。都市個人レベルで情報がわかれば、人工衛星を超えるスパイ装置になる、と。バシルたちはタキオンの完全デコードを目指す。バシルは既存機器で巨大観測網の作成を思索する。

そんな中、スパイ衛星が地球に極細の鉄串が刺さっているのを発見する。敵国から貫通し、軌道エレベーターの可能性から爆撃される。敵国の亡命科学者により、そこでタキオンを研究していたとわかる。彼らはタキオン観測を防ぐべくノイズを乗せてそうなった。つまりタキオンを改変すると現実が変わる。秘密裏に危険性の議論が進むが、他の亡命科学者が情報を漏らす。世界のパニックを抑えるためタキオン研究を公表する。タキオンでの物質改変がポスト核兵器と言われる。

バシルの研究でタキオンが既存機器で少し取れるが応用として弱い。だが過去の機器のログから発見された日がわかる。タキオン発見の機器稼働日だ。バシルは宇宙のセキュリティホールではないかと思い始める。実際、メインの巨大観測機がメンテに入るとタキオンは取れない。だが、これを壊しても世界は平和にならない。少しでも良くする案が浮かぶ。

バシルはタキオン改変のチームに入る。彼らはタキオンこそが世界を構成すると仮定し、神からのメッセージを探していた。歪なロジックで解読が進み、最終実験では小惑星の大きさを変える。それは巨大なものでも壊すことができることを示した。
宇宙を滅ぼせるとしても世界を変えれるとバシルは前向きに提案する。いざとなればタキオンを観測できなくすればいい。エネルギーの復活や温室効果ガスの減少などは難しい。そんな中単純に惑星を数倍に大きくするアイディアが出て、世界に向けて発表される。

もしかしたら神とのコミュニケーション手段かもしれない。我々が情報生命体なら赤いピルを選べただろう。だが、それは選べない。無論飲まないことも選べる。しかし、ここに青いピルはあるのだ。全人類が豊かになる可能性が残っている。と。
世界はひと月後には単純に地球を大きくし、国境線を変えないことを選ぶ。数ヶ月掛け、地球は数倍の大きさになる。移動が面倒になるが雇用が生まれたというのが専らの話題だ。バシルは最初の観測機のパーツ一つを取り外す。

文字数:1199

内容に関するアピール

世界が本当に辛いのでみんなの願いを叶える神がいてほしいのですが、考えれば考えるほど神を試みることになってしまいます。それを考えると成立しうる神とは単に高次の存在に過ぎず、人は神の知らぬ間に欲望を叶えるしかないのかと思っております。ただ少なくとも、今回の〆切が完全にピンチであった、僕の神はいないことに間違いないでしょう。所属する同人サークルで最終稿を出さなかった奴らが全部悪い。五月二十九日文学フリマ東京 カ-29 グローバルエリートで僕らの新刊を買え。(2017年第7回テーマ「神が存在する世界でのリアルな話を書きなさい」)

文字数:261

課題提出者一覧