梗 概
そばにいる怪
佐伯聡は十歳のとき交通事故にあう。頭を強打して意識不明になるが十日ほどで意識は回復する。幸いなことに他に外傷はなく一ヶ月ほどで退院する。
通学を再開して聡に普通の日常が戻ってくる。しかし、聡の目には普通ではない物が映っていた。それは、人間ではなく、地球上に生息する生物とは思えない、不気味な悍しい生き物だった。両親に言っても友達に言っても担任教師に言っても誰も信じてくれない。
最初見たときは驚き恐れた聡だったが、時間が経つにつれて何も危害を加えられないことがわかり、聡の心は落ちついてきた。その生き物からは聡は見えていないようだった。聡はその生き物を観察する。そいつらは、此処とは別次元の世界で生きているようだ。
なぜ自分にだけ見えるようになったのか? おそらく、あの交通事故で頭を強打したために、大脳が何らかの影響を受けて、この世界の人間には見えない別次元の世界が見えるようなったのではないか、と聡は子供ながらに考えた。それとも自分の頭がおかしくなって幻影を見ているのだろうか? と聡は自分自身を疑ってみたが、どう考えてみても自分の精神は正常だった。
この不気味な生き物はすぐそばにいる。けれども、誰も気づいていない。それならば、自分が解明してやろうと聡は決心して大学に進み物理学を専攻する。
数年が経過して聡は教授になり、ある日失踪する。
「奴らはすぐそばにいる。気をつけろ!」と走り書きしたメモが机に残されている。発見した新事実をまとめた論文を完成させて学会に提出する直前のことだった。教授の指導を受けている大学院生の篠原と学部生の関は教授から次のような話を聞いていた。
「この現実世界のすぐそばに寄り添うように別世界が存在している。その世界は人間の眼には見えない。気配を感じることも出来ない。しかし、間違いなくその別世界はすぐそばにある。その世界は悪意に満ちている。不浄で穢れている。私には見えるんだよ」
篠原と関は信じられなかったが真剣な表情で語る教授を見て信じることにした。教授は苦悩に満ちた顔をして「私は失敗した。そこにいる悪意を持つ生き物たちに、こちらの世界のことを気づかれてしまった」と言った。失踪する前日の夜には篠原に佐伯教授から電話がかかってきた。要件があるときは必ずメールの教授なので篠原は違和感を感じた。「私がいなくなっても決して探さないでくれ」それだけ言って電話は切れてしまった。そのとき篠原は、電話の向こうには教授以外の何者かがいたような気配がした。
これらの事実を警察に伝えても信じてもらえない。佐伯教授は心療内科に通っていたことから、論文執筆に心身ともに疲れて、自ら姿を消したと警察は判断して、事件ではなく行方不明者として処理された。ただ一人、田所刑事だけは篠原と関の話を信じてくれた。
佐伯教授は人間ではない物に変貌して仲間を連れて戻ってくる。そして、人間狩りが始まる。
文字数:1200
内容に関するアピール
人間の大脳の機能では見ることができない別次元の世界が、すぐそばに存在している。その世界では邪悪な生き物が生息している。その生き物たちがこちらの世界を征服しようと攻めてくる。そんな話です。
まだ結末も決められず梗概として全然まとまっていないのですが、キャラクターたちや悍ましい生き物の設定を決めて、プロットも整えて、タイトルもよくないので再考して、最終実作にふさわしい内容に仕上がるよう全力を尽くしたいと思います。
文字数:206