意外に知られていないことですが、「やりたいこと」と「得意なこと」は異なるものです。100メートルを10秒で走りたいのだ、と考えたとして、実際に走ることのできる人はほんのわずかです。12秒ということなら訓練によって実現可能であるかもしれませんが、100メートルを12秒で走るような小説で、興味をもってもらうことはなかなか難しいものです。
無論、小説は100メートル走ではないですし、ストリートファイトでもなければ、競技でもありません。向き不向きはありますが、不向きであることを有効に使うことだってできます。
たとえそれが思い込みでも、長所を伸ばすのは大切なことですし、早目に自信をつけてしまえば、またその自信を崩したり、別の得意な面がみつかることを期待できます。
「得意なものを書きなさい」というと、「アクションシーンが得意です」とか、「会話の組み立てが得意です」といったことを書いてくる人がいますが、そういうことではありません。この人は○○が得意なのだな、と読者が自然と感じることができるものを目指してください。あるいは、読者が感じとるものが、「あなたの得意なもの」なのです。
*タイトルは、印象に残るものにして下さい。忘れます。
(円城塔)
テーマ
「自分の得意なものを書きなさい」
- 課題提示、梗概講評:円城塔
- 梗概講評:伊藤靖(河出書房新社)
- 実作講評:藤井太洋
- 実作講評:溝口力丸(早川書房)
- 梗概講評、実作講評:大森望
梗概提出締切| 2020年12月15日(火)
梗概講評会| 2020年12月22日(火)
実作提出締切| 2021年1月21日(木)
実作講評会| 2021年1月28日(木)