燃える少女

印刷

梗 概

燃える少女

 地球は温暖化と太陽活動の活発化により熱くなっている。
2120年の日本の夏。東京都心の最高気温は、今年の夏は50℃をこえるだろうと誰もが予想している。

 マリアは四歳で覚醒した。火を自由に操れる少女になった。暑さも熱さも感じない。
そんな娘を両親はどう扱えばいいのか悩んだ。やむを得ず耐火部屋を作り娘をその部屋に閉じ込めた。マリアは強く反発した。
こんな狭い部屋にいるのは嫌だ。外に出て自由に火をつけて火と戯れながら遊びたい。
マリアは自分の思いを両親にぶつけた。その熱い思いは炎となり両親と家を焼きつくした。
マリアは無傷で救出され生命科学研究所に連れていかれる。
『人間の体を高温に耐えられるように改造しなければ、気温上昇を続ける地球で生存することはできない』
という考えの木下は生命科学研究所を設立した。マリアの両親の友人である木下は、マリアの火と熱さに対応できる能力を知り、その特殊能力を人体改造に利用したかった。

八年が過ぎる。

 『空から火の玉が降りそそぎ人々が逃げまわっている。
 田所警部は逃げまどう人々を安全な場所に避難させようと走り回るが、降り注ぐ火の
玉が頭に落ちて自分が燃えていく。熱さに苦しみながら田所は少女の声を聞いた。タスケテー!』
 そこで田所は眼を覚ます。汗だくだ。
 朝から40℃はこえている熱い陽射しの中を田所は出勤する。その途中の歩道で田所は羽を燃やしながら飛ぶ蝶を見つける。あまりの暑さに自然発火でもしたのか?夢うつつの頭で田所は空を舞う火を見ていた。すると突然、近くを歩いていた人が、あつい!あつい!あつい!と絶叫しながら服を破るようにして脱ぎすてると、火を噴きだしながら燃えてしまった。
 その日から人体自然発火で燃える人が続出した。田所は事件性を感じた。調べてみるとある地点を中心にして人体自然発火は発生している。その中心には生命科学研究所があった。
 田所は人体自然発火の原因は生命科学研究所にあると目星をつけて単身で聞き取り捜査にいく。
応対に出てきた木下所長に研究所内の応接室に通されて、田所はそこに閉じ込められてしまう。
研究所の地下の部屋にマリアは監禁されている。人体実験をされていた。
マリアは監禁されている地下室からSOSの念を送り続けていた。その念が人体自然発火の原因になってしまっていた。マリア自身も自分の能力を把握しきれていなかった。
マリアは田所が研究所にいることを木下所長から聞かされる。SOSの念を田所がいる応接室に送る。
マリアの念により応接室の温度が急上昇する。熱風吹き荒れる応接室から田所は脱出しようとする。そのとき夢の中で聞いた少女の声が聞こえてくる。田所は応接室から脱出する。そして監禁されているマリアを救出しに地下室に向かう。救出を阻む木下所長をマリアは燃やしてしまう。
助け出されたマリアは田所に言う「少しも熱くないの」
マリアは新しい生命体になっていた。

文字数:1200

内容に関するアピール

どんな“あつい”にしようか考えて、地球温暖化で暑く熱くなった地球の設定にしました。
マリアは、暑さに対応するために突然変異のように覚醒した、という設定でこんなストーリーになりました。
かなり無理がある設定ですが、実作では、読んでいて汗が出てくるような、自分の体が燃えてしまうような、暑さ熱さを感じられる描写をしたいと思います。
提出直前に、ふと思ったのですが。。。
これって「アナと雪の女王」の熱いバージョンみたいって思われるでしょうか?
そんなつもりは全然なかったのですが。。。
そう思われてしまうかも、と気づいてしまったので、最後にマリアに言わせてみました。

文字数:275

課題提出者一覧