未開のプロンプト

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梗 概

未開のプロンプト

 ファーストコンタクトは、宇宙知性体にとってのロマンであった。
 宇宙知性体たちは、処女星『地球』とのファーストコンタクト権を手に入れるため争っていた。最後に残ったグエズとヴォラという知性体は膠着状態の中、とうとう禁じ手を使い始める。
 ヴォラは地球に干渉波を送り、ある少年の頭に思考を植え付け「インデペンデンス・デイ」という映画を作らせた。これはグエズのネガティブキャンペーン映画だった。
 グエズは報復として、クロマニョン人に「映画を作ると地獄に落ちる」と干渉波を送る。度重なる遠隔干渉で地球はおかしなことになっていく。

 地球に住む少女アインは、物理学者である父のことが好きだった。そんな父が豹変し「小説を書かなくては!」と言い、傑作を何本か書き上げると、自殺してしまう。アインは父の発狂が原因で「地球人は宇宙人によって操られている」と思い始める。次第に自分の行動すべてに宇宙人の干渉を疑うようになり、大好きなヘニョレッピやモズリクを燃やしてしまう。
 生きがいを無くしたアインは首をつろうとするが、そんな自分の前に、もう一人の自分が現れる。

 地球争奪戦から離脱していた知性体リーヴズは、地球のレプリカを複数作り楽しんでいた。中でも、惑星ユリシーズはお気に入りだった。
 ユリシーズは出会い系アプリ『ペアメイツ』によって、すべての人に最高のカップリングが用意されているユートピア。しかし、そんな世界で一人の少女が首を吊ろうとしていた。
 その少女「アイン」は、自分の運命のパートナーとして『自分』が表示されるというエラーに苛まれていた。
 リーブズはデバッグとして、アインに他のレプリカ惑星でパートナーを見つけるように促す。
 アインは様々なレプリカ惑星を渡り、自分と出会う。魔法少女アイン、猫耳アイン、ナチスなアインなど様々な自分と出会うも、どのアインも運命の相手とは言えない上に、ドッペルゲンガー効果によって、悲劇的な最期を向かえてしまう。


 アインは「オリジナルの地球にこそ運命の相手がいる」と仮定し、リーヴズに尋ねる。しかし、原初の地球は変異しすぎており、また真なるアインも既に散逸していた。アインは真アインの過去の記録を見たことによって、疑似タイムマシンを作ると決意する。


 別の場所に宇宙を一から作り始めたアイン。途方もない試行回数の末に、彼女は再び地球の発生に立ち会う。しかし、他の知性体たちがファーストコンタクト争奪のために現れる。アインは真アインと再び出会うために、他の知性体を滅ぼし続ける。
 最終的にアインと、ネデルという知性体が残る。アインはネデルが地球に干渉波を送ろうとしていると知り、再び真アインを不幸な目にあわせないために、ファーストコンタクトを諦める。


 地球にいるアインは、父に宇宙人はいると思うか尋ねる。「いたらロマンがあるよね」と答える父。
 アインは「いつか宇宙人に会いにいく」などと言い、夜空を見上げる。

文字数:1217

内容に関するアピール

 高度な知性や技術を持ちながらも卑俗である宇宙知性体たちが、処女星『地球』とのファーストコンタクト権を争奪するために争っていてとにかく死にたくなるというファーストコンタクトSFです。
『宇宙人がファーストコンタクト権争奪のために戦う』というコアアイディアをひらめいた時に「なんか処女厨みたいで気持ち悪いな。よし書こう」と思ったのが執筆のきっかけです。

この出オチな作品を、一体どんなラストで終わらせるのか、悩みに悩んでいると、
「いいですか。ファーストコンタクトとは百合です。わかりますね?」という神の啓示が与えられたので、同一CP(同一人物同士のカップリング)もので締めることにしました。

またファーストコンタクトものといえば、理解しがたい存在や会話の成立しない存在との接触を描くのがド定番ですが、
「理解できるけど、理解したくない存在との接触」や「理解できる存在の接触によって、自分が理解できない存在に変容していき、結果的に理解できなくなる」という構造のファーストコンタクトを描いていくいくつもりです。

実作は、干渉波によって変容しまくり、訳がわからないことになっている地球や、話が通じない自分とのファーストコンタクトなどをブラックコメディーなタッチで描きます。

文字数:527

課題提出者一覧