梗 概
機怪蒐集-キカイシュウシュウ-
綺咲は悩んでいた。
通学路の商店街、三次元ホログラフィックの売り子が声を上げている。ある一角を通る時、耳元で囁くような声が聞こえるのだ。
「私、綺麗?」
綺咲も初めは怖かったが、次第に、隣に嫌な奴が座ったぐらいのイライラに変わる。
ある日綺咲は学校で、知らない男子を振ったことに、知らない女子から文句を言われる。
学校での出来事で辟易した綺咲は、帰り道でいつも通りに囁かれたとき、咄嗟に返事をしてしまう。
「綺麗じゃないよ!」
顔を振り上げると、路地奥に赤い女がいて、裂けた口が笑っているようだった。
それから綺咲は女に付き纏われる。
どんなに逃げても、女は追いかけてくる。
けれど、追い付いてはこない。
曲がり角でニタニタと笑い、鋏の音を響かせるだけだった。
綺咲は衰弱していく。
ふと、商店街のデジタル広告にこんな文字が浮かんでいた。
『デジタル・オカルト、除霊し〼』
商店街の汚ビルの7階で綺咲は、妙齢の女性「お姉様」と、執事風の若い男「ゲボク」に出会う。お姉様は話を聞き、売り子ホログラフィックがコンピュータウイルスに感染し、暴走していると説明する。耳元で囁かれる音声は、超指向性のスピーカーを利用したASMRだとも。
除霊金額を提示された綺咲は、なけなしのお金で依頼する。
お姉様は、赤い女のデジホロを捕まえる。ゲボクが解析を行い、ウイルスの出所を突き止めた。そこは、以前振った男子の家だった。すぐにお姉様は突撃し、嫌がらせをやめるよう、脅す。
しかし次の日も、朝の通学路であの言葉が聞こえる。
怒りに任せて、綺咲は学校で男子を問い詰めるが、彼はやっていないという。
じゃあ、あの声は?
背筋に寒気を覚える綺咲だった。
恐怖に怯えながらの帰り道。恐れていたことが起こる。
鋏を持った赤い女は、今度は走り出して、綺咲を追いかける。
全力で逃げるが、女の方が早い。
女は壁に追い詰めると「キレイナ、オカオ…」と、綺咲に鋏を向ける。
そこにお姉様が助けに来る。女を怯ませて、その隙に綺咲を連れていく。
お姉様から本当のことが明かされる。
高度に発達したホログラフィック技術によって、いない存在が当たり前になった現代。
それを逆手にとって、怪異が実体を持つようになってしまったのだ。
しかし突破口があった。それは、対象となる人間の意識が怪異に影響を与えていること。
それを聞いて、綺咲はあることを思い付く。
暴走した口裂け女の前に立つ綺咲は、小さい頃に死に別れた母を浮かべる。
会いたい存在だと強く感じれば、相手はその存在になる。
母を模った赤い人は優しく綺咲を撫でた。
綺咲は、それまで言えなかった謝罪の言葉を口にする。
安定した怪異の前で、ゲボクは犬の姿へと変わる。その犬は食べることで、怪異を蒐集した。
事件後、綺咲は、見ないようにしていた仏壇に手を合わせる。
文字数:1197
内容に関するアピール
キャッチコピー「高度に発達したコンピュータウイルスは、怪異と見分けがつかない」
ジャンルSFとしてのエンタメ性とは「説明することで世界が広がる」ではないでしょうか。
ということでエンタメと相性の良いオカルトを科学的に説明する、というど真ん中に挑戦してみました。
推定読者層としては、少年ジャンプSQあたりくらいが対象です。オカルト系が豊富なのと、少年漫画が好きでエンタメの代表のように思っているからです。
キャッチコピーは、これを思いついて、そこから発想を広げたので中心的な嘘になっています。
自分なりの課題としては「少年漫画っぽくかけているか」です。
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