重力の温室

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梗 概

重力の温室

ある未来。地球外移民プロジェクトが活発になり、若者たちは新天地を求めて移民教育プログラムの学校に入学する。学校は全寮制で温室があり、移住先の惑星に定着させるための農作物を育てている。ミカはこの学校で植物の栽培を担当し、低重力・高重力の環境を再現するための重力制御装置を運用していた。

学校はエリートばかりの集まりではなかった。居場所がなく、生きづらさを抱えながら一発逆転を求めて集まってきた者も多い。ミカもまた生活に適応できず、ここに流れ着いた一人だった。

同じクラスのアレックスは注目を集める存在だった。資産家の家柄で自信に満ち、リーダーシップを発揮している。ミカはアレックスに対して、違和感と居心地の悪さを抱いていた。

あるとき温室内で厳重に管理されていた植物が急に枯れ始める。学校側は病害や設備トラブルなどを調査する。やがて重力制御装置が不正に使用された痕跡を発見し、内部の人間による犯罪を疑う。監視が強化され、学校には緊張した空気が広がる。

学生たちは疑心暗鬼になり、犯人探しの噂が飛び交った。アレックスはミカの言動があやしいと吹聴し、ミカ自身も周囲から疑いの目で見られているという思いにとらわれ追い詰められていく。

ある夜、ミカは寮でアレックスの私物を目にする。自称、資産家育ちの経歴と異なる身分証明書や、犯罪に手を出して収監されている母親からの手紙があった。アレックスの完璧に見えた生活や出自が虚構だとミカは知ってしまう。

そのときミカは温室に異変が起きたことを知らせるアラートに気づく。温室に駆けつけたミカが目にしたのは、重力制御装置を操作するアレックスだった。ミカは操作を止めようとし、アレックスの出自はすべて偽造であることを知ったと告げる。

アレックスは冷めた笑みを浮かべ、この学校は一発逆転を求めてやってきた学生に期待を抱かせ、労働させるための欺瞞に満ちた仕組みなのだという。

アレックスは重力制御装置を動かして発生した光の洪水のなかに消滅した。アレックスはミカのIDで不正に操作していた。現場に残されたのはミカの操作ログと、ミカがアレックスを消滅させたとしか思えない状況証拠だけだった。アレックスは自分を追い詰めたミカを犯人に仕立て上げて死んだ。

数年後。ミカは施設に収監されている。ある日、年老いた受刑者と偶然ことばを交わす。その受刑者は自分の子供のことを誇らしげに語る。

移民教育プログラムの学校に入学し、植物栽培に使う重力制御装置の隠された機能、時間と空間の跳躍を知って、まんまと別な惑星にジャンプした。その惑星でエリート層に入り込み暮らしている。検閲を潜り抜けた手紙の中に親子でしかわからない暗号で書かれていたと。

受刑者はアレックスの母親で、アレックスは死んでいなかった。ミカはアレックスの身勝手さに憎悪を抱くと同時に、自分には決して持ち得なかった強いエゴイズムに対して羨望を抱くのだった。

文字数:1200

内容に関するアピール

エンタメSFを考えるということで、どのような要素が必要かを考えながら梗概を練りました。次はどうなるのか展開が気になるストーリー、キャラクターの強さ、どこかにカタルシスを感じること、SFガジェットの重要性ではないかと考えたのですが、あまりうまくいってないかもしれないです。申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。

文字数:157

課題提出者一覧