CONTINUE?

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梗 概

CONTINUE?

1

2050年、侵略軍により人口が激減した東京。
シィ(17)は抵抗軍の小隊隊長。強化人間の失敗作である彼女は身体操作が不安定で、潜在力は高いが危機に対し身体が勝手に逃げてしまう。戦績が悪く隊の食事は減らされ、幼い仲間と分け合う日々。この子らを残して死ねない。
そんな中、シィは廃墟で生きたアーケードゲーム筐体と硬貨の束を発見。「ストリートファイターIII」と表示され、廃墟に光と電子音が響く。自在に春麗の身体を操作できた瞬間、初めての快感。夢中になる。
ある日、街が未知の攻撃を受ける。廃墟は頑丈で無事だったが、筐体が異様な光を帯び「New Challenger!」の文字。謎の豪鬼使いが現れKOされる。迷わずコンティニューするシィ。密かに毎日挑み、ついに初勝利する。
刹那、空だったはずの店内の箱に、自らの名の記された古びた缶詰が出現。中はドロドロだが美味い。

2

1999年・秋葉原。ゲーセン屋の娘で引きこもりの響(17)は最強のゲーマーとして君臨。ある日、sheという謎の春麗使いとマッチ。店内にそれらしき人はいない。
最初は圧勝するが、日に日に強くなる相手に響は敗北。この店では負けたら自販機のおでん缶を奢る文化がある。響は缶にsheと書き店内の箱に入れる。受け取るかに関わらず敬意を表したかった。

二人は同じ場所の同じ筐体を介し、時間を超えた対戦を続ける。未来のシィが勝利すると過去の響が箱に缶を入れる。そして50年を経た缶が出現する。シィはそれを仲間と分け合う。しかし硬貨が減っていく。

3

平成。店の地下室に籠り、おでん缶と分析ノートの山に囲まれアケコンで日夜訓練を重ねる響。だが体調不良と建物の老朽化で店を閉めると父に告げられる。
居場所が消えると落ち込む響は惰性でsheと対戦。そこで相手がブロッキングという、攻撃される直前にあえて前に踏み出す高等技術を披露。自分の動きを読み切られたことで響は相手と通じ合えた気がし、ゲームへの情熱が戻る。

4

未来。戦績不良で隊ごと追放を命じられたシィ。行く宛もなく絶望し、死へ逃げたいと願う。
出発前夜、最後の硬貨を筐体に入れる。没頭の末、ブロッキングに成功。自身の操作に驚き、身体の呪縛から解き放たれた気持ちになる。
対戦が終わり、届いた最後の報酬は地下室の鍵だった。分厚い扉を開けると壁一面の缶詰の山。初めての誰かからの祝福に思えるシィ。このシェルターを拠点に現実と戦い続けよう。逃げようとする身体が勝手に後ずさるも、逆らって一歩を前に踏み出す。

5

平成。響は店を継がせてくれと父に頼み込む。書き溜めたノートには人気筐体のトレンド分析がびっしり。熱意に父は承諾する。
まずは建物の修繕計画を立てる響。かつて逃げ込んだ地下室は、響には不要になったが残す事に。自分の背中を押した好敵手が、ここを訪れる姿を妄想する。遊び心で地下室の鍵にsheと書き、勝利報酬として箱に投げ入れる。

文字数:1199

内容に関するアピール

格ゲーとは対話である —— 多くのプロゲーマーがそう語る。第一人者の梅原大吾も「言葉を交わすより、雄弁に相手の人間性が伝わってくる」と著書に記した。極限まで研ぎ澄まされた攻防は、時に言葉を超える。

本作は未来の終末世界と平成(ノストラダムスの年)、時間を超えて対戦する少女たちの物語だ。二人は互いの境遇を知らないが、画面の中で通じ合い、一つの結末へ収束していく。
一番の想定読者はゲーセンの空気感を(直接でなくとも)知る層。実作では二つの時代を交互に描き、未来側の残酷な境遇や謎、硬貨減少のタイムリミットをエンタメの駆動として使い、平成側にその種明し的な役割を担わせたい。

なお二人がプレイするストリートファイターIII 3rd STRIKEは、梅原のブロッキングによる大逆転動画が格ゲーファン以外にも有名で、令和のゲーセンでも稼働するタイトルだ。梗概では簡易的な表現をしたが、実作は現実の仕様に則って書く予定。

文字数:399

課題提出者一覧