旅する猫と、詐欺する男の噺(はなし)

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梗 概

旅する猫と、詐欺する男の噺(はなし)

ネオ(29歳♂)は宇宙の結婚詐欺師。
 汎銀河連合に非加盟の辺境惑星を、自船(ワープ機関搭載)で巡り『商売』に励む。
 宇宙商人を自称し、連合の進んだ機器を持ち込み、住民の関心を引く。富裕層を見極め、娘を籠絡。結婚や駆け落ちをエサに散々貢がせた後、独りでドローンでドロン! 高空で待機する自船へ戻るや別の星へ!

~中世英国風の星で、王族を手玉に取るネオ。何を貢がせるか、宿屋で企む彼を近衛兵が強襲!
 罪状は「第二、第四王女への不敬罪」
 ネオは逃亡用ドローンを呼ぶも、何故か飛来せず。彼の窮地をフードの人物が間一髪救う。

フードを下ろすと、人類型の猫耳少女(19歳)の顔が。少女は「ドローンを隠し、ネオの悪事を王室に密告したのは自分」と明かす。
「あなたのやり口はママからよく聞かされてたから」
 少女がネオに突きつけたロケットには、昔、騙した猫系種族の王女の写真が。
「初めましてパパ。娘のミアです」
「待て! お前の母親とニャンニャンした(猫だけに)けど、年齢が合わん!」
 その指摘にミアは「未来から来た」と。

ネオが去った18年後、ミアの星で古代宇宙文明の遺跡時の門が発掘される。『思念次第で行き先も時間も選べる』と碑文に。真実か否か?
 母の病死後、王家の恥と自分を冷遇した癖に、ノブレス・オブリージュを盾に「率先して《門》の安全を確かめて民に尽くせ」と強いられるミア。体のいい厄介払いだ。
《門》を通る時、『自分達を捨てた父に会いたい』と願う。
 気づくと、この星の王都にミアはいた。ネオを見つけ、動向を追い、罠にはめた。

不承不承、ミアに服従を誓ってドローンを取り戻し、ミア共々、自船へ戻るネオ。

宇宙船で父娘の生活がスタート!
 当初、手頃な星にミアを置き去りにしようと試みるネオだが、裏をかけず、常に失敗。ネオの『商売』の現場にもミアが介入し、邪魔される。
「ママみたいな人を増やしたくないし、私、妹も弟も欲しくないから」
 と言われれば、ネオの怒りも萎える。

一緒に旅を続ける内に、何だかんだでミアに、父親としての情が湧いてくるネオ。

~そんな時、ミアの星で革命が起きたとの報が。
「お前、未来で王家に強要されて《門》を通ったんじゃ?」
 だが現時点で、王家は他星へ亡命。辻褄が合わない。ネオの問いに、舌を出すミア。

~ミアの正体は猫系王女の侍女。
 ネオに弄ばれた王女は、ネオの殺害をミアに命じた。
「世間知らずな王女様に具体的な策なんかないし、私が全部計画したんだ」
 《門》の話は大嘘。ネオの娘と偽ったのは、さすがのネオも自分の娘には手を出すまいと踏んだから。
 同じ船で、ネオの寝首をかく機会を伺う内、気儘な王女から解放されての自由な旅に、ミアは初めて自分の人生を生きていると感じた。

「あんたの『商売』を手伝うよ。これからは父娘じゃなく、相棒ってことでよしなに!」  

 戸惑うネオの唇に、ミアは己の唇を重ねた。

文字数:1200

内容に関するアピール

本作は第6回の課題『嘘つき、詐欺師、デマゴーグetc.が出てくる物語を!』に提出した梗概のリメイクです。
 第6回Ver.は「映画『ペーパームーン』を下敷きにしたのなら、ハッピーエンドにすべき」と大森先生からご指摘を頂いたので、本作は、四苦八苦しながら結末を変更!
 でもあんまりハッピーにならなかったかも(苦笑) あと唐突かも。
 実作ではネオとミアの道行きに、エモいエピソードを増量し、二人の心理の変化を、読者が違和感なく感じられる風に書ければ、と。

なお本作では以下の設定を採用。
1)銀河系で暮らす、様々な種族はすべて、太古に存在した一大宇宙文明が播種した生命体の末裔。だから交雑可能。
2)一大宇宙文明の遺跡は、現在、銀河の各所で発見・発掘される。遺跡からは大抵、オーバーテクノロジーによる《遺物》が見つかるのは、銀河の常識(ネオが《時の門》の与太を信じたのも故なきことではない)

文字数:389

課題提出者一覧