梗 概
エイリアン・ナイト
「参ったな。どうやら私は死刑らしい」
宇宙船にアムレから通信が入る。アムレは監査の一環である惑星に降りたのだが、そこで現地住民に捕まり、今は監獄にいるのだと言う。女王ミネアに懇願し、「毎晩面白い話をするから死刑を延期してくれ」という願いは通ったが、面白くなければ一発で殺される。アムレは通信装置を起動させたまま、女王の前で物語を披露する。
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『シンドウ・バンドウの冒険』
シンドウは通信会社の社長。ある日、シンドウが財宝の眠る島に行くと、原住民に虐められている巨大なロック鳥の姿が。助けると、ロック鳥はお返しがしたいと申し出る。曰く、ロック鳥はあらゆるものを施錠(ロック)することができるらしい。シンドウは自社の通信に誰にも解かれないロックを掛けてもらう。シンドウは一躍時の人になったが、脳の負担が激しく、ロック鳥は死ぬ。シンドウは破産したが、一発逆転を求めて大海原へ旅立ち財宝を見つける。シンドウは喜んで財宝を金庫に入れようとするが、なぜかロックが掛からない。シンドウの宝は、ずっと傍にいた無口な秘書のバンドウによってネコババされてしまう。
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ミネアはアムレを死刑にしなかったが、やがて夜になり、アムレは再び物語を披露する。
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『ネコババと40億人の盗賊』
バンドウはネコババした財宝を、まだシンドウが持っているとネットで主張したので、ネット環境にあった40億人は財宝を狙い、シンドウを探すようになる。シンドウは捕まったら何をされるか分からないので、苦渋の決断で自身のクローンを何体も作り、宇宙に解き放っていくが……という話。
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ミネアはアムレを死刑にしなかったが、やがて夜になり、アムレは再び物語を披露する。
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『アラジンの魔法のランプ』
シンドウはひょんなことから魔法のランプを手に入れる。魔法のランプから出てきた魔人は、シンドウの「永久に脇毛が生えないで欲しい」と「運命の人と出会いたい」という二つの願いを叶える……というお話。
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アムレの話はそこで途切れる。乗組員が呼びかけるが応答はなく、慌てて惑星に降り立つと、ミネアがアムレのツルツルの脇を撫でながら「この脇の感触、やっぱりお母さん……!」と泣いている。
実はこの星「地球」には、不死の民であるアムレたちが遺伝子改変によって生み出した寿命のあるヒトを実験的に住まわせていた。不死の民は、テロメアに「鍵」をかけるかたちでヒトの細胞分裂にリミットを設けていたが、シンドウ・アムレはロック鳥を殺したことにより、あらゆる「鍵」が解錠されてしまうため、アムレが遺伝子操作で生み出したミネアもまた地球で不死の民として生き、孤独を感じていたのである。乗組員たちはミネアも自分たちと一緒の惑星に行くことを提案するが、二人は首を横に振る。
「貴方たちは先に行って。私は娘と飽きるまで、自分達の長い長い人生について語り合いたいの。さあ、今度はミネアの番よ」
文字数:1198
内容に関するアピール
斜線堂有紀先生から教わった「驚き2割、共感8割」を実現すべく、多くの人に馴染みがありそうな『アラビアンナイト』を下敷きにしつつ、これまでのSF講座の課題のテーマを盛り込んでみました。
今回の梗概では1200字と、字数がかなり少ないのと、まだちゃんと『アラビアンナイト』を読めていないので肝心な語りの部分があやふやなのですが、原作を参考にしつつ、大筋に合うように実作では詰めようと思っています。
個人的には、タイトルのセンスと挿入する話を何処までぶっ飛ばせるのかが課題だと思っています。あとバンドウも、もう少し作中でも存在感を出せるようにしたいのと、物語の最後はランプの魔人の願い事で締める方が気持ち良いと思うので、その辺りはちゃんと考えたいです(アドバイスくださると大変有り難いです)。
文字数:341