梗 概
ここもあちらも粘る闇
あたし、倉布戸ラブ。いろいろ問題は抱えているけど、それでも健気に毎日を生きてる。楽しいことばっかりじゃなくって、どっちかというと辛いことの方が多いかなって思うけど、それも試練、神様に与えられた課題だと思えば、どうってことなくやり過ごせる。
多分。
この新宿の街に人の姿が消えたこと、でもこれってかなり重大な事態。あたしのお店、昼間はうどんカフェ、夜はたこ焼きスナックのこのお店にも閑古鳥が鳴くようになって幾星霜、精巣持ったお客様の顔なんてとんと忘れてしまったし、何なら卵巣装備のお姫様だって熱烈歓迎するってのに、待てど暮らせど人っ子一人来やしない。
退屈。
磨き続けたこのグラス、すっかりすり減り薄くなり、そうっとテーブルに置いたのに、ぱきりと小さな音を立てて割れちゃった。悲しいというか切ないというか、とにかく時の経つのの早いこと。お掃除マシンが甲斐甲斐しくカウンターの上を走り回りガラスの破片を片付けていく。
反省。
全く、あたしったらここで何をしているのかしら、いつまで経ってもお客様が来ないというのなら、こちらから拿捕しに行くのも一つの考え、さて、どこまで行けばお客様の姿が見えるのか? カラオケの用のモニターに付近の映像を表示させる。店の入り口、通りのカメラ、交差点やらコンビニやらの映像が次々に映し出されては消えていく。そしてそこに動く物は一切ない。乗り捨てられた車たちが整然と並んだ道路、人間はおろか、猫やらネズミやらアンドロイドの姿すらない。
新宿を確認し、その周辺も網羅して、ため息をつく。だーれもいない。つまんないから消しちゃう、だーれもいない。
プピッと挨拶をして、お掃除マシンが自分のお部屋に帰っていく。そうだ、名前をつけてあげなきゃ、プピッて鳴くから、あんたは今日からぷぴ、分かった?
プピッ。
あたしはもう一つグラスを手にとって颯爽と磨き始める。もうすっかりグラス磨きマシンになったような気持ち。シュッシュッシュッと磨いていく。
磨いていく。
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内容に関するアピール
クトゥルーとかラヴクラフトとかを調べて書こうと思ったのですが、まだ調べてないのでこうなりました。
後、仏像についても調べたいです。
本を読みます。
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