猫じゃなかった!

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梗 概

猫じゃなかった!

 神崎マサオは心の中で同僚の島田への恨みを育てていた。
同期で入社した島田に仕事の成果を横取りされ恋人のユリアも奪われた。

 ある日マサオは、学生時代の友人の沢村から、仔猫が産まれたからもらってくれないか?と連絡をもらう。西暦2125年の日本では猫は珍しい動物だった。犬もほとんどいない。ペットを飼っている人は僅かだった。沢村が猫を飼っていたことをマサオは知らなかった。マサオは物珍しさで休日に猫を見せてもらいに沢村の家に行く。その仔猫はアメリカンショートヘアという種類だとマサオは教えられる。マサオは愛くるしい顔で仔猫に見つめられると、飼いたいという衝動が強くなってきた。しかし、マサオがいる今のアパートはペットは禁止されている。部屋から外に出さなければ大丈夫かもしれない、でも、もし管理人に見つかったら、と迷っていると、フッと意識が遠ざかり気がついたときにはマサオは仔猫が入った段ボール箱を持って歩いていた。
 
 マサオはその仔猫にマフィンと名付けた。
マフィンは不思議な猫だった。餌をやっても食べない。水をやっても飲まない。しかし、何日経っても元気にミャーミャーと鳴きながらマサオにじゃれついてくる。そして、まるで人間の言葉がわかるようにしてマサオの言うことに従った。マサオはマフィンを育てることに夢中になった。マフィンはスクスクと大きく育っていった。
 ある日突然、マフィンは変貌を遂げた。頭に角が生えていた。その生き物はもはや猫には見えなかった。
 マサオは、あれは一体何だ!と問い詰めようと沢村の家に行く。するとそこは数台のパトカーと多くの人達で騒然としていた。沢村は何者かに殺害されていた。

 沢村は脳内で想像したものを実体化できる特殊能力を持っていた。マフィンは、沢村が心の中で想像した、猫によく似ているけどまったく別な生き物となって実体化した。沢村は自分の想像物がどのように育つのかマサオに渡して実験をした。自分で育てることはどうしても出来なかったから。理由は分からないが沢村はマフィンに触れることができなかった。そして、沢村は自分の意識が想像して実体化したマフィンに殺されてしまった。

 かつては猫のように見えたマフィンがマサオに話しかけてきた。直接頭の中に。
「あなたの頭の中の恨みを食べさせてもらった。島田への復讐はどうすればいい?」
 マサオはマフィンに島田への復讐を指示する。マサオは、マフィンは育ててもらった恩でマサオの恨みを晴らしてくれるのかと思ったが、実際は自分がマフィンに育てられていたことを知る。
 
 マサオはマフィンを殺そうとする。しかし、マフィンに育てられたマサオは、脳内の意識をマフィンに乗っ取られて、自分の思い通りに行動することができなかった。沢村の脳内の意識が実体化したマフィンは、人の脳内の意識を自由に操ることができるようだ。マサオはマフィンとともに生きることを決意する。

文字数:1200

内容に関するアピール

育てているつもりが実は育てられていた、という、育てる/育てられる、という関係性が逆転するストーリーを考えました。育てるものも、可愛いものから得体のしれない不気味なものに変化して、ホラー、ミステリィっぽくして、といろいろ考えた結果、こんな支離滅裂というか破綻しているというか、全然まとまりのないものになってしまいました。ストーリーにもっと栄養を与えて実作に育て上げたいと思っています。

文字数:191

課題提出者一覧